2024年3月現在で全世界の24億9,100万人以上のユーザーが利用している、YouTube。100か国80の言語に対応し、毎日10億時間視聴されるなど世界最大規模の動画配信プラットフォームとなっています。
圧倒的なユーザー数を誇るYouTubeに配信できるYouTube広告を活用することで、海外の顧客に自社の商品やサービスへの認知度を高め、新規顧客を生み出す可能性が大いに高まります。
そこで本記事では、海外でYouTube広告を配信する際の制作のポイントや配信方法を解説します。
目次
YouTube動画広告の種類と特徴
主なYouTube動画広告として、次の5種類があります。
- スキップ可能なインストリーム広告
- スキップ不可なインストリーム広告
- インフィード広告
- バンパー広告
- アウトストリームと付随するコンテンツ
インストリーム広告(スキップ可能) | インストリーム広告(スキップ不可) | インフィード | バンパー | アウトストリームと付随するコンテンツ | |
特徴 | ユーザーはスキップできるが、注意を喚起できる | ユーザーが広告をスキップできないため、メッセージ全体を視聴してもらえる | 情報収集や検索の段階で関心の高いユーザーに広告を表示できる | スキップできない短いメッセージであるため、認知度を高めたり、他の広告を強化したりできる | Google 以外のお気に入りのサイトをブラウジングしているユーザーに認知してもらえる |
配信先 | YouTube 動画、GVP インストリーム*、GVP アプリ* | YouTube 動画、GVP インストリーム*、GVP アプリ* | YouTube ホームフィード、YouTube 検索 | YouTube 動画、GVP インストリーム*、GVP アプリ* | GVP* |
効果的な用途・目的 | 認知拡大 | アクションを喚起させる | 比較検討 | 認知拡大 | 認知拡大 |
*Google 動画パートナー(GVP)にオプトインしている場合
インストリーム広告は動画の前後、または途中で表示されるもので、視聴者がスキップできるタイプとスキップ不可能なタイプが存在します。
このほか、ディスプレイ広告は動画の横や下に表示される静止画で、クリックを促します。オーバーレイ広告は動画の下部に半透明で表示されるテキストや画像の形式です。各広告形式には特徴があり、目的に応じて選択することが重要です。
関連記事:YouTube広告の費用とは?課金形態と種類を紹介
動画広告を選ぶポイント3つ
動画広告を選ぶポイントは、次の3つの目的に応じて選ぶと良いでしょう。
- 認知拡大
- 比較検討してもらう
- CVRを高める
認知拡大
新商品発売などがあり、「認知拡大したい」「ブランド認知を高めたい」といった目標を達成したいというときには、次の広告フォーマットがおすすめです。
- スキップ可能なインストリーム広告:多くのユーザーにアプローチできる、広告動画内でストーリーを展開しやすい
- バンパー広告:スキップできないため、確実にメッセージを伝えられる、短い尺で簡潔に伝えられる
- アウトストリーム広告:YouTubeユーザー以外にもアプローチできる、さまざまなフォーマットがある
- マストヘッド広告:短期集中で多くのユーザーにアプローチできる、高い視認性がある
比較検討してもらう
商品やサービスの比較検討を促すためには、視聴者の興味を引く魅力的な広告であることが重要です。以下、おすすめのYouTube広告フォーマットとその特徴をご紹介します。
- スキップ可能なインストリーム広告:比較的長い動画で商品やサービスの特徴を詳しく説明できる、ストーリー性のある広告で視聴者の興味を引ける
- インフィード動画広告:検索結果や関連動画一覧に溶け込むように表示されるため、ユーザーの目に止まりやすく、クリック率が高い傾向にある
CVRを高める
ユーザーにクリックを促す、購買意欲を高めるなどCVRを高めたいというときには、次の広告フォーマットがおすすめです。
- スキップ可能なインストリーム広告:ストーリー性のある広告で視聴者の興味を引ける、商品やサービスの特徴を詳しく説明できる
- バンパー広告:短時間で簡潔に商品やサービスの特徴を伝えられる、インパクトのある広告で視聴者の記憶に残る
- アウトストリーム広告:YouTube以外のGoogle動画パートナーのサイトやアプリでも配信可能なため、YouTubeユーザー以外にもアプローチできる
- マストヘッド広告:短期集中で多くのユーザーにアプローチできる、高い視認性がある
海外向けYouTube動画広告で成果を出すためのポイント5つ
海外向けYouTube広告の制作のポイントは次の5点です。
- ターゲット(国)に響く動画にする
- 最初の3秒で引き付ける
- クリエイティブは複数パターンを用意して最適化する
- 行動喚起を明確にする
- 自社のYouTubeチャンネルを活用する
ターゲット(国)に響く動画にする
ターゲットとする国のターゲットに響くには、ペルソナユーザーの好みに合わせた動画広告を制作する必要があります。 言語や表現、映像や音楽など、ターゲット層に響くようなクリエイティブを心がけましょう。
競合他社を調査することでユーザーがどのような広告を好むのか、自社がどのように差別化できるのかを把握しやすくなります。Google広告の「プレビューと診断ツール」を使うことで、特定の国でどのような広告が表示されるのかを事前に確認できます。
デザインや表現だけでなく、配信時期やトレンドなども考慮したローカライズが必要です。現地で今流行っていることや適した時期を踏まえることで、より効果的な配信につながります。
また、翻訳にあたっては現地のネイティブ人材に依頼するなど確実なものとすることが重要です。
関連記事:海外向けGoogle広告を運用するには?ポイントや成功事例を紹介
最初の5秒で惹きつける
YouTube広告の多くは、開始から5秒経つとユーザーが広告の視聴を続けるか・続けないかを選択できるようになっています。ユーザーは最初の5秒で、自分にとって興味があるものか、価値があるかを判断し、スキップするかどうかを決めます。
YouTube広告は、5秒という限られた時間で視聴者の心を掴み、最後まで視聴を続けてもらえるような動画にすることが重要です。5秒以内に、自社の商品・サービスの価値やブランドの差別化、視聴者にとってのメリットを明確に伝えましょう。
クリエイティブは複数パターンを用意して最適化する
海外向けYouTube広告では、効果測定を実施して、広告の成果を把握することが重要です。そのためクリエイティブは複数パターンを用意し、まずは2種類のクリエイティブでA/Bテストを実施しながら効果の得られた方を採用し、より効果的なクリエイティブを探っていきます。
関連記事:A/Bテストで効果的な広告運用
広告のクリック率や再生率、コンバージョン率などを分析することで、改善点を見つけて、より効果的な広告配信につなげられます。
自社のYouTubeチャンネルを活用する
YouTube広告は、単なる広告ではなく、ファン獲得のチャンスとなる可能性が大きくあります。
動画広告に興味を示し、クリックなどのアクションを行ったユーザーは、おそらくあなたのブランドやコンテンツにも興味を持っていると考えられます。有料広告で獲得した潜在顧客をファンに転換するためには、アクティブなオーガニックチャンネルの設置が不可欠です。
広告で興味を持ったユーザーが、あなたのチャンネルに訪れ、動画コンテンツを通してブランドや商品の魅力をより深く理解し、ファンへと成長していけるような機会にしましょう。
動画広告は、単なる「広告」としてではなく、ファンエンゲージメントを高めるツールとしても活用できます。視聴者の興味を引くストーリー性のある動画広告を作成することで、ユーザーとの接点を増やし、ファンとの絆を深められます。
動画広告とオーガニックチャンネルを連携させることで、相乗効果を生み出せるでしょう。動画広告で視聴者の興味を引いた後、オーガニックチャンネルで詳細な情報を提供することで、コンバージョン率を向上させることも可能です。
海外向けYouTubeチャンネル・日本企業の事例
日本企業の海外向けYouTubeチャンネルをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
SIGMA
カメラ・交換レンズメーカーのSIGMAは、その高い品質から海外でも高い評価を得ています。上の動画はカメラやレンズとともに、撮影する人を映した映像で、再生回数は92万回以上と人気の動画です。
他の動画でも、海外の人にもわかるようにBGMのみの再生となっており、工場がある会津の美しい風景が印象的です。
任天堂
スーパーマリオやドンキーコングなど海外でも人気の高いゲームを提供している任天堂。イギリス版のYouTubeでは、ストーリー性を重視した内容となっています。
ゲーム依存などの悪影響が懸念されているなかで、遠くにいる人とも交流できるツールの一つとなっている好ましいイメージを表現した内容です。
MILBON
ヘアケア商品MILBONは、髪のダメージを修復し、美しい髪へと導くアイテムとして国内外で多くの人に愛されています。
上記に挙げたMILBONの海外向け動画では、英語の音声は一切ありませんが、視覚的に分かりやすい構成で、商品の性能を効果的に伝えています。
動画では、黒髪の女性の髪が、MILBON使用前後でどのように変化していくのかを、ビフォー・アフター形式で比較。美しい髪を手に入れた女性の笑顔や自信に満ちた表情を映し出すことで、商品の魅力を訴求しています。
外国語の音声を入れず、視覚的に分かりやすい構成にすることで手間をかけずに海外向け動画を作成できます。商品の効果を明確に伝えつつ、短い尺で完結させることで海外向けに効果的な動画となります。
海外向けYouTube広告の配信方法5ステップ
海外向けYouTube広告の配信方法の流れは、次の5ステップです。
- ①Google 広告アカウントを作成する
- ②動画広告を作成し、アップロードする
- ③広告キャンペーン目標を設定する
- ④広告キャンペーンの詳細を設定する
- ⑤広告配信する
Google 広告アカウントを作成する
YouTube広告は、Google広告を通して管理されます。そのため、まずGoogle広告アカウントの作成が必要です。アカウント作成は無料で、簡単に行えます。
配信する広告は、事前にYouTubeチャンネルにアップロードする必要があります。チャンネル作成も無料で、Googleアカウントがあればすぐにできます。
動画広告を作成し、アップロードする
YouTube広告を配信するには、まず広告動画をYouTubeにアップロードする必要があります。チャンネルで公開する必要はありませんので、非公開設定にしておきましょう。
アップロード手順は次の通りです。
①YouTubeにログインします。
②右上のアイコンをクリックし、「クリエイターツール」を選択します。
③左側のメニューから「動画をアップロード」を選択します。
④アップロードしたい動画ファイルを選択します。
⑤「タイトル」、「説明」、「タグ」などを設定します。
⑥「公開設定」で「非公開」を選択します。
⑦「保存」をクリックします。
次のことに注意しておきましょう。
- 動画のファイル形式は、MP4、MOV、FLVなどが推奨
- 動画の長さは、最大15分まで
- アップロードした動画のURLは、後ほど必要になるので、メモしておくとおすすめ
広告キャンペーン目標を設定する
効果的なYouTube広告配信には、明確なキャンペーン目標の設定が不可欠です。目標を定めることで、ターゲット層、広告フォーマット、予算などを最適な形に導き出すことができます。
次の手順でキャンペーン目標の設定を行いましょう。
- キャンペーン目標の選択
Google広告の管理画面から、「キャンペーン」 > 「+」 > 「新しいキャンペーンを作成」をクリックします。
画面上部の「キャンペーン目標」プルダウンメニューから、動画キャンペーンの目的を選択します。主な目標とそれぞれ期待できる効果は以下の通りです。
- コンバージョン獲得: ウェブサイトへの訪問、資料請求、購入など、具体的な行動を促したい場合
- エンゲージメント獲得: 動画の視聴回数、いいね、コメント数などを増やしたい場合
- ブランド認知度向上: ブランドや商品・サービスを多くの人に知ってもらいたい場合
- ターゲット層の明確化
誰に広告を届けたいのか、ターゲット層を明確にしましょう。年齢層、性別、居住地域、興味・関心など、さまざまな要素を組み合わせてターゲティングを設定できます。
- 広告フォーマットの選択
YouTubeでは、動画広告、バンパー広告、インストリーム広告など、さまざまな広告フォーマットが用意されています。それぞれのフォーマットの特徴と効果を理解し、キャンペーン目標に合ったものを選びましょう。
キャンペーン目標とターゲット層を明確に定めることで、効果的な広告配信を実現できます。広告フォーマットは、それぞれの特性を理解したうえで選択してください。設定項目は多岐にわたりますが、焦らず丁寧に設定を進めていきましょう。
広告キャンペーンの詳細を設定する
さらに、キャンペーン名や予算、入札方法、配信スケジュールなどを設定します。入札戦略には注意が必要です。
入札戦略とは、広告枠のオークションにおいて、いくらで入札するかを決める指針です。動画広告で利用できる主な入札戦略は以下の2種類です。
- コンバージョン数の最大化
この戦略は、限られた予算の中で、できるだけ多くのコンバージョンを獲得することを目的としています。システムが自動的に最適な入札単価を算出し、広告枠のオークションに臨みます。
- 目標コンバージョン単価
この戦略は、1回のコンバージョンあたりの目標単価を設定し、その範囲内でコンバージョンを獲得することを目的としています。目標単価よりも低い入札単価でしか広告枠を獲得できない場合は、広告配信されない可能性があります。
上記の2つの入札戦略いずれを選択する場合も、コンバージョンを正確にトラッキングすることが重要です。コンバージョンがトラッキングされていない場合、適切な入札戦略を実行することができず、目標達成が困難になります。
コンバージョントラッキングの設定方法は、次のようになっています。
- Google 広告のコンバージョン トラッキング タグをウェブサイトに設置する
- Google アナリティクスと連携させる
入札戦略の選び方は、次の通りです。
- コンバージョン単価を把握している場合は、「目標コンバージョン単価」
- コンバージョン単価を把握していない場合は、「コンバージョン数の最大化」
ターゲティング設定では、広告を表示するユーザーを絞り込みます。「Find My Audience」を活用することで、自社の商品やサービスと高い親和性を持ったユーザーを的確に把握し、より効果的な広告配信を実現することができます。
広告配信する
ここまで設定してきた内容を反映し、動画広告を作成していきます。
- 動画広告の作成
先にYouTubeへアップロードしていた動画の「URL」を入力し、「動画」を選択します。
「クリック先のURL」を入力します。これは、動画広告をクリックしたユーザーが遷移する先のURLです。
「行動を促すフレーズ」を入力します。これは、動画広告の中に表示されるCTAボタンの文言です。CTAボタンを利用する場合は、チェックボックスにチェックを入れ、ボタンに反映させるキーワードを入力します。
- 広告文・ディスクリプションの入力
- 「広告見出し」: 動画広告のタイトルとなる文言を入力
- 「広告文」: 動画広告の説明となる文言を入力
- 「ディスクリプション」: 動画広告の詳細情報を入力
- キャンペーンの作成
上記の設定が完了したら、「キャンペーンの作成」をクリックします。これで、YouTube広告の完成です!
海外進出を狙うならBigmac(ビッグマック)へ!
本記事では、海外向けYouTube動画広告制作のポイントと配信方法を中心にお伝えしてきました。
海外向けYouTube広告の制作のポイントは次の5点です。
- ターゲット(国)に響く動画にする
- 最初の3秒で引き付ける
- クリエイティブは複数パターンを用意して最適化する
- 行動喚起を明確にする
- 自社のYouTubeチャンネルを活用する
海外では、ターゲット国のペルソナに響く動画にすることが重要で、事前の競合分析・戦略は不可欠です。
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