【2024年版】中国越境ECの市場とは?規模や特徴について解説!

【2024年版】中国越境ECの市場とは?規模や特徴について解説!

世界で活躍するEC事業者を目指すなら、巨大市場・中国の存在は無視できません。今や世界最大のEC市場となった中国では、越境ECが目覚ましい成長を続けています。この巨大なチャンスを掴み、ビジネスを成功へと導くにはどうすればよいのでしょうか?

 

本記事では、中国越境ECの市場規模や特徴、成功のためのポイントについて、くわしく解説します。日本企業の成功事例も交えながら、中国越境ECビジネスの可能性と、その実現に向けた具体的な戦略を明らかにしていきます。

【2024年】中国越境ECの市場規模

なぜ中国ではネット販売が人気なのか?

中国のEC化率(小売総額に占めるEC取引額の割合)は2022年時点で45.3%と世界トップを維持しています。2023年のEC小売市場のシェアでは中国が51.3%と過半数を占めています。

 

2023年度の中国における越境ECサイトのシェアを見ると、アリババの天猫(Tmall)が40.7%と下落しているもののトップを維持し、続いて京東(JD.com)が20%、拼多多(Pinduoduo)が16.7%となっています。

中国における3大EC事業者のシェア

引用:令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書

 

最近では、拼多多(ピンドゥオドゥオ)が運営するTemu(ティームー)というショッピングアプリが注目を集めており、2023年のショッピングアプリダウンロード数が世界1位になったとの報道もありました。

参考資料:[レポートシェアリング] 「2024年の世界におけるモバイルアプリ(非ゲーム)市場の展望」

 

トレンドを押さえつつ、自社の商品に合ったマーケットで勝負するのが、懸命な判断かもしれません。

今後の中国越境ECの市場規模推計値

中国の越境EC市場は目覚ましい成長を続けており、経済産業省の報告によると、2021年の世界の越境EC市場規模は7,850億USドルに達しました。

 

2030年には7兆9,380億USドルを超えると予測されており、その拡大傾向は今後も続くと見られています。

 

近年の予想を踏まえると、2024年の中国の越境EC市場規模は1,824億USドルに達し、前年比6.4%の増加が見込まれています。

中国の越境EC市場規模推計値

引用:令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書

 

この予想は、中国のEC市場が依然として活況を呈していること、そして世界的なEC市場の成長を牽引していることを示しています。

中国越境ECの特徴

中国の越境EC市場の特徴を年代別に探っていきましょう。

 

中国の越境EC市場において、主要な消費者層は20代後半から40代前半の若年層です。

中国における越境EC利用者の年齢層

引用:令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書

 

この世代はデジタルネイティブ世代とも呼ばれ、オンラインショッピングへの抵抗が少なく、積極的に利用している世代でもあります。海外ブランドや製品に対する関心が高く、品質と価格の両方を重視する傾向が見られます。

 

ただし、65歳以上の世代でも間接的に越境ECを利用しているケースがあり、家族や友人が代行購入するという形も多く見られるようです。

 

中国の越境EC市場動向や消費者行動を理解することは、日本のEC事業者にとって有益な戦略を立てる上で重要です。中国の若年層のデジタルリテラシーの高さや海外製品への関心、そして高齢世代の間接的な市場参加など、中国の越境EC市場は多面的な特徴を持っていると言えます。

中国越境ECに参入する方法

中国越境EC市場への参入方法として、中国最大のECサイト天猫国際(TmallGlobal)への出店手順を例にご紹介していきます。

 

天猫(Tmall)は、中国ECサイトのシェア率1位を誇る巨大プラットフォームです。2021年度の売上高は約16兆2,000億円で、前年度比19%増と勢いを見せています。年間アクティブ・コンシューマー数は全世界で13億1,000万人を超え、そのうち3億500万人は海外からの越境EC利用者です。

 

運営元はアリババグループで、BtoC向けの天猫(Tmall)のほか、CtoCサイトの淘宝網(Taobao)などを運営しています。

 

また、日本法人アリババジャパンを通じて、日本語での出店サポートも受けられるのが魅力です。すでに日本企業では、資生堂、花王、ムーニー、ミキハウス、カルビー、ライオンなど、数多くの企業が天猫国際(TmallGlobal)に出店しています。

ステップ 1. 事前審査

天猫国際(TmallGlobal)への出店には、希望の店舗が以下の条件を満たしている必要があります。

 

<出店条件>

  • 正式に登記された企業であること
  • 自社ブランドを所有していること
  • 商標を取得していること
  • 大手企業または業界上位の実績があること
  • 越境ECの専門チームがあること

ステップ 2. 本審査

事前審査を通過した店舗だけが、本審査へと移行できます。

 

本審査の必要書類は以下のとおりです。

 

<必要書類>

  • 会社登記簿謄本
  • 税務登録証明書および直近の納税証明書
  • 会社代表者・店舗責任者の身分証明書、ライセンス証明書
  • 銀行口座所有証明書および預金残高証明書

ステップ 3. 契約締結

審査通過後、出店契約を締結できます。

ステップ 4. 天猫国際上に店舗ページを作成

これで、天猫国際(TmallGlobal)上に自社の店舗ページを作成できるようになります。

 

初期費用として、店舗運営を確保するために保証金の支払いが必要です。保証金は店舗形態や商品ジャンルによって異なりますが、2024年8月時点のレート換算で約100万円(5万元)から約600万円(30万元)となっています。

参考資料:中国における越境ECの概要と留意点

ステップ 5. 商品の販売、在庫管理、顧客対応などの運営を開始

出店には厳しい条件と複雑な手続きが必要ですが、一度出店できれば中国市場への強力な販売チャネルとなります。また、天猫国際(TmallGlobal)のスタッフから手厚いサポートを受けられるのも利点です。

 

しかし中小企業や新規参入企業にとってはハードルが高いため、まずは卸売販売モデルやフルフィルメント越境ECモデルから始めることも検討するのもよいでしょう。

中国越境ECを始める前に押さえておきたいポイント

中国越境ECを始める前に押さえておきたい主要なポイントは以下のとおりです。

中国電子商取引法の遵守

中国では電子商取引(EC)業界の発展と秩序ある運営を確保するために、「中国電子商取引法」を制定しています。この法律では、主に次の3点に注意する必要があります。

 

1.営業許可証の取得と納税

EC事業者は営業許可証を取得し、利益に応じた納税義務を負います。

脱税には厳しい罰則が科されます。

 

2.事業者の責任

顧客の安全や商品の信頼性について、事業者に厳しい責任が課されます。

責任を果たさない場合、罰則やEC市場からの追放の可能性があります。

 

3.商品説明の言語

商品説明は中国語で記載する必要があります。

中国のEC市場に参入する事業者や個人は、この法律を遵守することが必須です。

 

さらに詳しい情報や規則については、外部リンクをご確認ください。

参考資料:中華人民共和国電子商取引法

ポジティブリスト(電商総合税)の理解

中国越境ECには「ポジティブリスト」と呼ばれる税制優遇制度があります。このリストに掲載された商品は電商総合税が適用され、関税、増値税、消費税の合計額の70%という低い税率で輸入できるようになります。

 

中国政府が2016年に導入したこの制度では、中国国内の個人消費者が中国で登記された越境ECプラットフォームを通じて中国国外の販売業者から個人目的で商品を購入し、その取引データを税関が監督管理できることが条件となります。

 

なお、2023年に最新のポジティブリストが発表されているので、中国越境ECビジネスを検討している方は確認しておくとよいでしょう。

参考資料:越境電子商取引小売輸入品リスト

税制の違いの把握

中国越境ECビジネスでは、日本とは異なる税金の仕組みを把握しておく必要があります。

 

中国で発生する税金の例として、関税、増値税(日本の消費税に相当)、消費税(特定の嗜好品や贅沢品に課税)、行郵税(海外からの購入品や個人輸入品に課税)など主に4つがあります。

 

さらに、中国越境ECには直送モデルと保税区モデルの2つのアプローチがあり、それぞれで発生する税金や税率が異なるため、正しい理解が必要です。

 

以下は中国越境ECの物流モデル「直送モデル」と「保税区モデル」それぞれの違いを表にまとめたものです。

モデル 特徴 メリット デメリット
直送モデル 注文が入るごとに日本から国際スピード郵便(EMS)などを利用して直接中国の消費者に商品を発送します。行郵税が適用されるので、税額50元以下の取引は免税されます。
  • 商品を中国に事前に送る必要がないため、売れ残りのリスクが少ない
  • 保税倉庫の利用料や大規模な輸送費用が不要
  • 国際郵便を利用するため、商品到着までに10日以上かかることがある
  • 個別配送のため、送料が高くなる傾向がある
保税区モデル 商品を事前に中国国内の保税区にある倉庫に保管し、注文が入った際に通関を行ってから消費者に発送します。越境EC電商税が適用されるので、ポジティブリストに記載された商品は税制優遇されます。
  • 中国国内からの発送となるため、商品到着までの時間が短縮される(通常2日程度)
  • 一括輸送により送料が抑えられる
  • 売れ残り商品を保管するリスクがあるため、慎重な在庫管理が必要になる
  • 保税倉庫の利用料や一括輸送の費用がかかる

大規模なセールを行う「独身の日」

中国越境ECビジネスでセールスを促進するには、中国のECサイトが大規模なセールを行う11月11日を理解し、活用することが効果的です。

 

この日は中国で独身を意味する数字の「1」が並ぶことから、「独身の日」と呼ばれ、各ECサイトがこぞって値引きセールを行います。

インフルエンサーを活用する

中国ではSNSの影響力が大きく、インフルエンサーを含むKOL(Key Opinion Leader)やKOC(Key Opinion Consumer)が多くのフォロワーを抱えています。WeChat、Douyin、Weiboなどの主要なSNSプラットフォームで、KOLやKOCは合計20億人以上のファンに影響を与えています。

 

中国ではマスメディアや広告に対する信頼度が低い背景もあり、KOLやKOCの存在が中国消費者の購買行動に大きな影響を与えることがあります。

中国越境ECを成功させるポイント

中国越境ECを成功させるポイントは次の3つです。

スマートフォンでの閲覧、購入手続きを前提としたサイト構築

中国のスマートフォンのインターネット利用率は99.8%に達し、ネットユーザー数10億5100万人の99.6%がスマートフォンを利用しています。

参考資料:中国、ネットユーザー規模10億5100万人に、スマホ利用が全体の99.6%

 

また、中国越境EC利用者のデバイスとしては、スマートフォンが96%と圧倒的で、ノートパソコンは51%となっています。

中国における越境EC利用時のデバイスの種類

引用:令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書

 

時間や場所を問わずアクセスできるスマートフォンを通じた越境ECのさらなる拡大が予想されるため、日本のEC事業者はスマートフォンに最適化されたサイト構築を意識する必要があります。

ALIPAY(アリペイ)などのモバイル決済の導入を

中国ではモバイル端末でのQRコード決済が主流で、代表的なサービスとしてアリババグループのAlipay(アリペイ)とテンセントのWeChatPay(ウィーチャットペイ)があります。

 

EC決済時もAlipayの利用が多く、47%とトップでした。

中国における越境EC決済方法

引用:令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書

 

また、中国では街中のさまざまなシーン(ゲームセンター、宅配ロッカーなど)でモバイル決済が浸透しており、もはや中国越境ECビジネスにおける必須項目となっています。

中国語の対応

中国市場に進出するうえで、中国語のスキルは不可欠です。顧客や現地業者との円滑なコミュニケーションにより、トラブルを防ぎ、スムーズなビジネス展開につながります。

 

さらに、自社の商品やサービスの情報を中国語に翻訳することで、中国市場に適した形で提供できるようになります。最近では、DeepLという翻訳サービスが大規模言語モデルを採用し、高い翻訳品質を実現しています。言語専門家からも高い評価を得ており、ChatGPTやMicrosoft翻訳を超える出力を提供します。

 

中小企業でもこれらのツールを活用することで、コスト効率よく中国越境ECビジネスに参入できるでしょう。

中国越境EC成功事例

ヤーマンオンラインストア のTOP画像

公式サイト:ヤーマンオンラインストア

 

ヤーマンは2015年に中国市場に参入し、ECプラットフォーム「Tmall」を中心に急成長を遂げました。高品質な美顔器や脱毛器が中国消費者の支持を集め、「独身の日」セールでは電子美容機器部門で6年連続1位を達成。

 

ライブコマースを活用し、KOLや専門家とのコラボレーションで販売を促進。「フォトプラス プレステージS」や「Bloom」シリーズなどのヒット商品を次々と投入し、中国市場でのシェアを拡大。

 

結果、海外売上高は2020年の49億円から2022年には145億円へと急増。ヤーマンの成功は、品質重視と現地のEC戦略の巧みな融合によるものと言えるでしょう。

参考記事:日本・ヤーマンの美顔器、中国市場で絶好調。コスパ勝負の中国メーカーとの闘いの行方は

中国の越境ECについてのまとめ

本記事では、中国越境ECの市場規模や特徴、参入方法などについて解説しました。

 

中国は世界最大規模のEC市場を有し、その動向は世界的な注目を集めています。中国越境EC市場は目覚ましい成長を続けており、主要な消費者層はデジタルネイティブ世代である若年層です。

 

日本企業も多く参入しており、成功を収めている企業も少なくありません。中国越境ECビジネスでは、日本とは異なる税制や販促手法などを理解することが重要です。また、スマートフォンに最適化されたサイト構築やモバイル決済の導入、中国語の対応など、中国市場に適した形でビジネスを展開することが成功の鍵となるでしょう。

 

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