現在、インターネット上にはたくさんのECサイトが公開されており、国内だけでなく、外国のお客様に向けて自社の商品を販売する企業も増えてきています。今回の記事では、海外向けのネットショップでのビジネスを考えている方に向けて、基礎知識や始める手順、注意点などを解説していきます。
目次
海外向けECサイトとは?
海外向けECサイトとは、日本のネットショップで海外向けに商品を販売することを指し、越境ECと呼ばれています。海外進出と違って、テナント費などの初期費用がかからず、接客に関する作業工程も省略できます。インターネット環境があれば、場所を問わず簡単に販売を開始できるのが魅力です。また、新規顧客の獲得、利益率のアップも見込めます。
海外向けECを始める手順
海外向けにネットで商品を販売する場合、大きく分けてモールに出店する場合と自社ECサイトを構築する場合の2つの方法があります。
その2つの方法について、具体的に解説します。
モールに出店する場合
お手軽に海外向けのECサイトを作成したいなら、モールサイト型ECサイトに出店するのがおすすめです。各サイトの出店申込ボタンから手続きをし、審査を通過すれば晴れて開店です。審査の期間は出店するECサイトによって差があり、短くて3日、長いと三カ月ほどかかります。ECサイトの運営に慣れていない場合などは、モール出店で運営するのがいいでしょう。
また、海外で人気のあるECサイトに出店すれば、多くの人に商品を見てもらえます。国によって、人気のサイトは異なります。出店する国に合わせてサイトを選びましょう。中には翻訳のサポートがついているECサイトも存在します。
ただ、モールに出店する場合、手数料の支払いが必要です。商品が売れるたびに手数料の支払いが必要な場合が多いです。モールによっては、商品の配送システムを自分たちで行わなければならないケースもあり、考慮が必要です。ページのデザインはあらかじめ決まっているため、細かいアレンジはできません。
自社ECサイトを構築する場合
自社のECサイトを構築する場合は、自由なレイアウトができるので、おススメです。プログラミングにより、カートシステムなどを一から作成するため、思い通りのページを作成できます。
手順は、まず制作会社を探し、開発するシステムの詳細を固めていきます。そして、定例会議などを挟みながらデザインを作成し、構築をしてサイト公開ができます。当然、自社ECサイトなら手数料がかかりません。制作会社と連携して、高い自由度でさまざまな戦略を打ち出せます。
ただし、集客も一から行う必要があり、軌道に乗るまでは売上が伸びない時期もあります。システムもすべて自分たちで管理するので、深いプログラミング知識が必要です。手間がかかる点も要注意です。海外向けのECサイト作成する場合は、プロに依頼することがおすすめです。海外向けのECサイトを作成する時は、公開後のメンテナンスや変更なども考えると、最初からプロにお任せした方が、メリットが大きいです。
海外向けECの注意点
海外でECサイトを出店すれば、世界中のユーザーに自社の商品をチェックしてもらえ、新規顧客獲得の大きなチャンスが得られます。
ただし、越境ECを運営していくにあたって、さまざまな注意点があります。日本でのECサイト運営とは違った問題があり、考慮しないとお客様とのトラブルや、多額の損失につながる可能性があります。中でも注意すべき4つの点をご紹介します。
外国語対応が必要
当然ですが、ECサイトを公開する国の言語の知識は必須です。おかしな言葉遣いや不適切な翻訳になっていると、売上だけでなく会社のイメージも下がってしまいます。直接購入者と会話をしなければならないようなケースは少ないですが、商品に関する質問などを受けた場合、きちんと対応出来ることが大切です。
また、商品の素材や説明欄などで誤った翻訳をしてしまい、現地の法律に引っかかってトラブルが起きるケースもあります。トラブルに発展してしまえば、ECサイトの停止も起こり得るので、考慮する必要があります。
梱包を工夫する
飛行機や船を使用して配送するので、国内へ商品を配送する場合とは異なる点が多々あります。あまり丁寧に扱われないケースもあります。中の商品が破損してしまうこともあるので、緩衝材などは国内配送よりもしっかり入れましょう。緩衝材は上から圧力をかけられてもある程度は耐えてくれるような大きめの気泡緩衝材がおすすめです。”FRAGILE”などと記載された、割れ物注意のシールも効果的です。
また、中身のチェックが税関で行われることもあります。梱包し直してもらえますが、なるべくシンプルな梱包方法にし、再梱包しやすいようにしておいたほうが良いです。
カントリーリスクを把握する
カントリーリスクとは、各国の状況により商品の販売が難しくなることです。
たとえば、政権交代戦争による制度の変更や急激なインフレ、内乱による治安の悪化、自然災害などさまざまなケースが該当します。中でも、新興国は先進国と比べ、カントリーリスクが高いとされています。また、情報を正確に把握するためにも複数の情報源から情報を収集していく必要もあります。販売対象の国の状況に気を配り、急な変化にも対応できるよう心がけましょう。
為替市場によって売上が変わる
海外での取引では「通貨」の変動が大きく関わっています。商品の価格は、為替の状況を確認してから決定するのが良いです。
円高傾向であれば日本円で買った商品の価値も上がり、円安なら価値も下がってしまいます。毎日設定を変える必要はないですが、定期的に情勢を把握するのも大切です。アメリカであれば、ドル円のレートを確認しましょう。
おすすめ海外ECサイト
先ほどお伝えした海外向けECサイトのオススメモール型ECサイトを紹介していきます。海外モールへ出品する形で越境ECを開業するときは、ネットショップの選考が重要なポイントとなります。
国によって人気のあるモールは異なり、さまざまな特徴もあります。国別で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【中国】 天猫国際
天猫は、アリババグループの海外向けECサイトで2013年に開設しました。
発音は「テンマオ」です。
中国進出を考えているネットショップにとって、最適のサービスです。圧倒的なシェアと高い集客力を誇り、中国向けECサイトに参入する日本企業にとって、とても魅力的です。パナソニックやユニクロ、ソニーなどの日本の大企業も出店しています。
天猫の特徴は、信頼性が高いことです。厳しい審査を通過した者のみ出店の許可が降ります。なので、海外向けECサイトの舞台としては、ややハードルが高いといえます。中国での営業許可証を持った法人でなければならない上、商標登録証や販売権利証も提出しなければなりません。工程に2〜3カ月の期間がかかってしまいます。
【アメリカ】 アマゾン
2000年11月に開設されたショッピングサイトで、日本でもなじみ深いECサイトです。
当初は、本や雑誌といった書籍のみを取り扱っていましたが、現在はAV機器からベビー用品、さらに食品に至るまで多彩なジャンルの商品を扱っています。アメリカ国内でのシェア率は高く、40%近くもあり、トップに君臨しています。Amazonには店舗はなく、あくまで商品を出品するだけです。Amazonのサイトの既存のカタログを利用すれば、ページ作成に手間がなく、簡単に商品を販売することが可能です。
また、初期費用はないですが、Amazon倉庫を利用すると、月額利用料が39.99米ドル発生はしますが、Amazonプライム会員の上位検索に表示される割合が高くなるメリットがあります。
【インド】 アマゾン・インディア
アマゾン・インディアは、2013年6月に「Amazon.in」として、海外EC事業をスタートしました。インドでもアマゾンは多くの国民から利用されています。日用品、食品やアパレル、家電などが人気商品です。
そもそもインドは12憶人市場なので、日本の12倍の市場で商品販売ができます。インターネット普及率は低いですが、人口大国なだけあって、市場価値は高いです。また、決済方法は現金(代引)が主軸です。日本とも文化的な交流が行われている国なので、海外向けECサイトを立ち上げるにはうってつけの国と言えます。
【台湾】 PChome
PChomeは、2000年EC界へ進出した台湾では多くの人が知っている大型のECサイトです。老舗のECサイトで、台湾最大規模のモールです。販売されている商品数は500万種類以上で、中でも200万種類の商品は24時間以内(台北市内は6時間以内)に配達することが可能です。
購入者は、日本商品に対して良いイメージを持っており、Made in Japanへの興味が高く、市場としては最良と言えます。奇抜な商品よりも、クオリティの高い商品が人気です。カップラーメン、菓子や米、ソースなどの食品系も人気です。薬も人気が高いですが、規制がかかってしまうケースがあるので、オンラインで販売できるのはほんの一部です。
人口的に見ると台湾市場は日本に比べ非常に小さいですが、ネットを通じて商品を購入する人の割合は日本より高く、多くの集客が見込めます。
【韓国】 G-market
G-marketは、韓国最大のネットオークション・ショッピングサイトで、月に2,200万人もの人が訪問しています。コスメやファッションを中心に、幅広く商品が出品されています。
スマホサイトでは日本語利用も可能で、価格も日本円で表記されています。なので、近年では韓国だけでなく日本でも利用するユーザーが増えているようです。クレジットカードが使えるなど利便性も良くなっており、海外発送にも対応が可能です。
規模も大きく、知名度も高いですが、審査が厳しいと言われています。審査に通過すれば顧客数アップは間違いないでしょう。また、韓国ECユーザーは、商品画像を重視する傾向にあります。よって、韓国のECサイトはユーザーが商品イメージをつかみやすい商品画像を掲載することが重要です。
海外ECサイトをうまく運用しよう!
チェックすべき項目が多いですが、海外向けネットショップには多くのメリットがあります。
海外向けECサイトをスムーズに公開したい場合や海外進出に不安を感じている方は、プロに相談しましょう。そして、海外の情勢やトレンドを見極めて自社のビジネスモデルに合った運用を目指しましょう。
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