購買行動モデルという言葉を聞いたことはありますか?「AIDMA」「AISAS」であれば聞いたことがあるという人は多いでしょう。本記事では購買行動モデルについて、時代の変化に触れながら詳しく解説していきます。
目次
購入行動モデルを知るメリット
購買行動モデルとは、消費者が商品やサービスを認識し、その後、購入や利用するまでのプロセスを解説したものです。近年では、インターネット上のコンテンツに加えて、SNSの普及などメディアの発展によって、消費者の購買行動は大きく変化しました。
そのため、自社の商品やサービスが、各購買行動モデルのどのケースに当てはまるのかを理解する必要があります。購買行動モデルを理解し、消費者がどのプロセスで離れているのかを分析し対策することは、効果的なマーケティング戦略の一つです。
消費者が何を考え、どのように行動するのかを的確に理解するために、購買行動モデルを理解しましょう。
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マスメディア時代の購買行動モデル
マスメディア時代の情報収集手段は、テレビCMや新聞、雑誌、商品資料、カタログなど、「企業側から消費者へと一方的に流れる情報」のみでした。消費者が情報収集する手段が限られていた、マスメディア時代の購買行動モデルをご紹介します。まず、次の2つのモデルを押さえておきましょう。
- AIDA(アイダ)
- AIDMA(アイドマ)
AIDA(アイダ)
- attention(注意)
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Action(行動)
『AIDAの法則』は、1925年に提唱された、最も古い代表的な購買行動モデルです。AIDAは、消費者心理を4つの段階で構成しています。各段階でマーケティングする目標を変えることで、より大きな成果が得られると考えた理論です。
AIDMA(アイドマ)
- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
『AIDMA』は、AIDAの法則に「記憶」の段階が追加されたものです。インターネットが普及していないマスメディア時代は、消費者が興味・欲求を持っても、購入までに時間がかりました。そのため、「消費者に長く商品を記憶してもらう」ことが、購買行動に大きく左右する、というマーケティング理論に基づいた購買行動モデルです。
インターネット時代の購買行動モデル
通信環境が発達し、スマートフォンが普及したことで、消費者は「気になる」「欲しい」などの思考が発生した際に、即座にアクションできるようになりました。「気になる」「欲しい」と感じたモノを、スマートフォンで検索し、Webサイトで情報収集を行い、通販サイトで商品購入できるようになっています。マスメディア時代のように、企業側からの一方的な情報に頼るのではなく、消費者が自らインターネットを利用し情報収集を行うのが、現代の購買行動モデルです。
- AISAS(アイサス)
- AIDCAS(アイドカス)
- AISCEAS(アイーシズ)
- ZMOT(ズィーモット)
- FMOT(エフモット)
上記のモデルについて、知っておきましょう。
AISAS(アイサス)
- Attention(注意)
- Interes(興味)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
『AISAS』とは、商品やサービスを買うまでに、消費者がどのような行動をとるのかを分析してパターン化したものです。AIDMAの購買行動モデルから、欲求と記憶の段階が無くなり、3番目に「検索」、最終段階に「共有」が追加されています。
AIDCAS(アイドカス)
- Attention(認知)
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Conviction(確信)
- Action(行動)
- Satisfaction(満足)
AIDCASは、AISASの購買行動モデルをベースとして、「Conviction(確信)」の段階を加えています。消費者が購買に至るまでの行動パターンを、より明確にした購買行動モデルです。
AISCEAS(アイーシズ)
- Attention(認知)
- Interest(興味)
- Search(検索)
- Comparison(比較)
- Examination(検討)
- Action(行動)
- Share(共有)
AISCEASは、AISASに「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」のプロセスが追加されています。インターネットの普及により、商品の比較を簡単にできるようになりました。そのため、「インターネット上で商品の魅力を発信する」ことが購買行動に大きく左右する、というマーケティング理論に基づいた購買行動モデルとして生まれました。
ZMOT(ズィーモット)
ZMOT(Zero Moment of Truth)は、Googleが2010年に提唱した購買行動モデルです。ZMOTは、消費者は「来店してから購入する商品を決める」のではなく、「事前にインターネットで情報収集を行い、購入する商品を決めてから来店する」という考えに基づいた購買行動モデルです。実店舗の売上獲得には、インターネット上の情報戦略が重要であることを裏付けています。
FMOT(エフモット)
FMOT(First Moment of Truth)は、ZMOTのベースになったマーケティング理論です。FMOTでは、「消費者が店頭で商品購入を決定するタイミングは、店頭にある商品を見て、3秒から7秒以内」と唱えています。「決断までの、3秒から7秒」というわずかな時間の間に、商品の魅力を伝えられるかどうかが売上を左右する、という考え方です。
コンテンツマーケティング時代の購買行動モデル
ソーシャルメディアの普及により、誰もが情報発信を気軽に行えるようになりました。コンテンツマーケティング時代の購買行動モデルは、「AIDMA」や「AISAS」などにある「注意」ユーザーを集めることを重要視したマーケティング理論とは異なります。コンテンツマーケティング時代では、「売り手が発信する宣伝広告」ではなく、「友人や実際の消費者が発信する情報」が行動の起因となる、購買行動モデルが求められます。
紹介するのは、次の5つのモデルです。
- DECAX(デキャックス)
- Dual AISAS(デュアルアイサス)
- SIPS(シップス)
- VISAS(ヴィサス)
- RsEsPs(レップス)
DECAX(デキャックス)
- Discovery(発見)
- Engage(関係)
- Check(確認)
- Action(購買)
- Experience(体験)
ソーシャルメディアが一般的になり、コンテンツマーケティングが注目を浴びた事で2015年に誕生した新しい購買行動モデルです。企業が発信した広告を見て、消費者の購買行動が始まるのではなく「消費者が自ら有益な商品の情報収集を行い、商品を発見する」という、第一段階の「発見」が特徴です。
Dual AISAS(デュアルアイサス)
1Attention(注意)
<注意を細分化>
・Active(起動)
・Interest(興味)
・Share(共有)
・Accept(受容)
・Spread(拡散)
2 Interes((興味)
3Search(検索)
4Action(行動)
5Share(共有)
Dual AISASは「SNSで情報を発信したい」という消費者心理を、AISASの第一段階「注目」に当てはめた購買行動モデルです。SNSのユーザー心理をマーケティングに活用することで、AISASの「注意ユーザー数が増える」というマーケティング理論です。
SIPS(シップス)
- Sympathize(共感)
- Identify(確認)
- Participate(参加)
- Share&Spread(共有と拡散)
SIPSは、他の購買行動モデルと違い商品購入がゴールではなく、消費者とのコミュニケーションを図ることをゴールとしています。ソーシャルメディアを活用して、消費者は情報収集を行うだけでなく、Instagramライブの参加、口コミのコメント記載、リツイートなど、消費者による情報拡散を狙い、売上数を増加させることが目的の購買行動モデルです。
VISAS(ヴィサス)
- Viral(拡散)
- Influence(確認)
- Sympathy(共感)
- Action(行動)
- Share(共有)
VISASの購買行動モデルでは、友人や第三者のソーシャルメディア上の情報拡散から、商品の存在を知り、商品購入しソーシャルメディア上で情報共有を行います。共感から始まり、共感で終わる消費行動モデルです。VISASの特徴として、自分が欲しいと感じていなかった商品(潜在ニーズ)の掘り起しが可能です。
RsEsPs(レップス)
- Recognition(認識)
- Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)
- Experience(体験)
- Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)
- Purchase(購買)
- Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)
RsEsPsモデルでは、認識・体験・購買の各フェーズで、検索・共有・拡散が行われます。各段階で行われる検索行動に対してのコンテンツ施策を推奨している消費者行動モデルです。
時代ごとの購買モデルの変化
購買行動モデルはマーケティングに必須
時代にともなう購買行動モデルの変化により、マス広告で注目を集めるだけでは、購買行動に結びつかなくなりました。他社マーケティング施策のコピーや、マスメディア時代のマーケティング概念ではなく、自社の商品分析、顧客分析に基づいた購買行動モデルに沿ってマーケティングを行いましょう。
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