OODAループとは、マーケティングのフレームワークで活用する思考方法です。アメリカ出身の軍事戦略家であるジョン・ボイド氏が発明しました。
OODAループに関する基本的な情報と活用方法についても紹介します。
目次
OODAループとは
OODAとは、状況や状態に応じて意思の決定を行うマーケティング手法です。最初に状態の未来を予測し、今後の行動を実行するという一連の行動を「OODAループ」といいます。
「OODAループ」には、状況によって下記の4つの段階があり、それぞれの頭文字を
取ります。
- 観察(Observe)
- 方向づけ(Orient)
- 決定(Decide)
- 実行(Action)
「OODAループ」は状態の変化に弱いPDCAに代わる手法として、近年日本でも多くの企業が取り入れ始めています。
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OODAループはアメリカの空軍の戦略が発祥
OODAループは、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が発案しました。戦況が常に変化する戦時中においては、臨機応変に対応する必要性がありました。
そのため、当初の計画通りに任務を遂行するだけでなく、状況を判断して次の行動を素早く起こす必要があります。
OODAがビジネスで注目されている理由について
プロダクトフサイクルの短期化や価値観の浸透によって、消費者ニーズの多様化により予測する事が難しい現代では、安定した売上・利益の発生が見込みにくくなっています。
企業は変化する消費者のニーズや情勢を正確に把握して、製品やサービスに迅速に反映しなけえればなりません。
このような、予想が付かない情勢に対してOODAループは、効果的です。
最新情報を元に行動や判断を行い、想定外の事が発生した場合に、対応が可能となる意思決定プロセス です。
また、各種アクションによって得られた結果やデータをその場で分析、収集してアプローチするというプロセスを踏む必要があります。
OODAループを活用することで、
・消費者ニーズや製品に対する評価を商品開発に反映させる
・今までの技術を活用
・環境に応じて適切な対応ができる組織
など、変化し続ける消費者ニーズの中、市場環境に合った対応策が打ち出せます。
D-OODAループとは
OODAの他に「D-OODA」とうものがあります。OODAに「D(Disign)」の要素を加えた言語ですが、ここでいう「Disign」とは、目標を立てる事を言います。
変化に柔軟に対応し、前提となる大筋の目標設計を先に明確にする必要があります。最終的に何を目指しているのかという軸を決めておく事で変化に対応しながら行動を起こせます。
組織向けOODAループの使い方
OODAループの活用をする企業や組織は増えてきています。そこで、実際のOODAループの使用方法について紹介したいと思います。
OODAマネジメントとは
OODAループを使用した経営マネジメントが「OODAマネジメント」です。予想外でも迷わない自律分散組織「すぐ決まる組織」の作成が出来るようになります。
シリコンバレー企業などもOODAマネジメントを取り入れており、注目を浴び有名になっています。
企業のビジョンに向けて成果を明確にする事でチャレンジが可能な経営方法です。
現在、注目度が高い組織がOODAマネジメントです。OODAマネジメントの組織について紹介しますので参考にしてみて下さい。
- 自律分散組織
- ワクワクする組織
- ティール組織
- ホラクラシー
- ネットワーク組織
- 全員経営
- 幸福経営
- 年輪経営
- 夢中になる組織
- セムラーイズム、マーベリック
人工知能 AI時代に勝ち残る力
人工知能(AI)の時代には定型的な業務はコンピュータで置き換えられます。
しかし、人工知能には実現が難しく、人間だからこそ実現できる力がOODAです。
商品開発や事業創成
OODAは、商品開発や事業創成の分野で活用されています。OODAループ理論に基づいて発展している手法には以下のものがあります。
- アジャイル開発
- リーンスタートアップ
- デザイン思考
- システム思考
OODAループの4つの各段階について解説
OODAループは4段階に区別されており、「観察」「状況判断」「意思決定」「実効」に分かれています。
1つ1つを細かく紹介しますので参考にして下さい。
Observe(観察)とは
「Observe(観察)」では、周囲の状況を把握と観察します「3C分析」を使って市場・競合・自社の分析を行い、観察を行います。
Orient(方向付け)とは
「Orient(方向付け)」では、「観察」で分析した内容や結果を踏まえ、戦略の方向性を決めていきます。
Decide(意思決定)とは
「Decide(意思決定)」では、「方向付け」で定めた戦略を、実行レベルまで移行します。
Action(実行)とは
「Action(実行)」では、「方向付け」までに決めた行動を実際に実行します。
状況や状態が変化したと思ったら、「観察」に戻り現況を再度見直します。
OODAで結果が出る会社と出ない会社の違い
OODAを取り入れている企業には、結果が出る企業と出ない企業があります。結果が出ている企業は以下を取り入れ、OODAを有効化しています。
優先順位の決定
調査で収集した情報を分析し、価値観を見直して優先順位を決定します。
価値観が定まっていない物や心理的要素が固まっていない事は考慮する必要性がありますが、会社の未来像やビジョンに基づく戦略を立てて優先順位を選定しましょう。
会社と個人の目標の方向性を定める
会社が決めた方針と従業員が目指している方向性に相違があるとやりがいを感じる事が出来なくなります。
また、上記のような会社と個人の目標に相違がある状況はPDCAやOODAサイクルが上手く回らない原因にもなります。
実行までのスピード感
OODAを取り入れる場合はスピード感も重要となります。OODAはPDCAと違い、直感的に行動するためのマーケティング手法なので、一旦はやってみるといった思考も重要です。
目標のレベル感
目標のレベル感を考える事も重要となります。目標設定を高くしてしまうと、達成できなかった際に、従業員の心理的要因に大きな影響を与えてしまいます。
まずは、KPIを元に考えるのか?目標設定は高すぎていないか?を考えましょう。
また、会社側が設定した目標設定が従業員に浸透していないと、OODAは回りにくくなります。
OODAループは多分野で活用できる
OODAループはあらゆる分野で活用されています。OODAを取り入れている分野について紹介しますので参考にしてみて下さい。
OODAは主にビジネスで活用されている
OODAはビジネスでも活用されており、アメリカではビジネス学校でもOODAの教育が進んでいます。
アメリカのシリコンバレーではデザイン思考などもOODAの考え方が軸にあります。
OODAは政治にも取り入れられている
政治でもOODAが活用されています。有名な事例として、アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏は、OODAループを活用して大統領選に当選したと言われています。
OODAは人工知能の分野でも取り入れられている
AI(人工知能)業界でもOODAが活用されている事が多いです。人間がAIに勝る能力を明確にして意思決定理論にも影響を与えてくれます。
幸福を感じる為にはOODAは効果的
幸福を感じる為にOODAは効果的です。OODAは人と組織を幸せにする事ができます。成果を軸にして考え実行し効果や改善を認められていくことで幸福を感じる事ができます。
PDCAとOODAの違い
PDCAは生産管理や品質管理の手法を言います。「決まっている作業や工程の中で低コスト運用を行い効果や結果を発揮できるか」を考える際に適した方法です。
一方でOODAは状況に応じて変わる意思決定方法です。PDCAのような決まった業務や仕事の改善ではなく、明確に固まっていない工程の中で物事に対して意思決定を行うための手段がOODAです。
PDCAとOODAを上手く使い分ける事は、業務の改善に繋がります。
PDCAとOODAの使い分け
PDCAで改善するのに適した業務は、状況や状態に変化が無い工程です。
一方、OODAループで改善するのに適した業務は、状況変化のある工程だといえるでしょう。
つまり各手法の使い分けが重要になってきます。対応する業務よって使い分けていきましょう。
OODAループがPDCAより優れている点
PDCAサイクルでは、計画が重要視されており、「想定外のことに弱い」という特徴も持ち合わせています。
実際に、Plan(計画)に多くの時間を掛ける事になります。PDCAサイクルは、必要最低限な計画が実行出来なかったという反省を元に作られたと言われています。
ですので、OODAループと比べて計画性は優れている、フレームワークです。
PDCAサイクルとは
業務を通して、「PDCAサイクルを回せ」と言われる事も多いのでは無いでしょうか?PDCAサイクルとは、統計を使用した方法です。デミングの方法ではありません。
また、PDCAには状況や状態に応じて臨機応変に対応するという概念がありません。PDCAの考え方だけで業務や仕事を行うと失敗してしまう可能性もあるので注意しましょう。
PDCAの問題点とは?
PDCAも4つのプランに分けられていますが、それぞれのデメリットについても紹介します。
- plan(契約)
- DO(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
plan(契約)におけるデメリット
Plan(計画)における失敗要因は、目標設定までの工程が描けていない事や、現状の分析や把握ができていない事があります。
PDCAの考え方には、検証と仮説があります。PDCAは、基本的に仮説を立てて実行して、結果を検証する中で新しい仮説を立てていく循環思考です。
しかし、最初の仮説に間違いが発生していると、検証や実行作業も低レベルになってしまい良い結果に繋がりません。
アクションプランとして、目標の達成や課題を解決できる具体的なイメージを持つ事が成功への一歩に繋がります。
Doにおけるデメリット
Do(実行)のデメリットは、計画性を立てないままの実行にあります。
・ただ頑張ればいい
・とにかくやるだけやってみる
・分かる事や出来ることからやればいい
といった考えも無いなプランは、効果的な結果を生めません。また、長期的な目標の場合、直近の結果が見えにくくなり、結果を意識するチャンスを逃してしまいます。
短期目標を長期目標にブレイクダウンしたり、目標達成に向けて細かく計画を立てるという事は、PDCAに欠かせない要素です。
Checkにおけるデメリット
Check(評価)における失敗要因は、チェック基準が適当な事や曖昧な事です。
・全体的にOKだ!
・そんな感じで良いと思う
・もう少し頑張って下さい
上記のような曖昧で抽象的なチェック基準では、PDCAは効果的に活用できません。
PDCAのチェックは幅広い視点から結果を判断したり数値的指標を具体的な検証作業する必要があります。
また、内部チェックだけで済ませようとすれば、
・判断基準がゆるくなる
・見逃してしまう
こともあります。その場合は外部の視点から厳しくチェックが必要です。確実な業務改善へと組織を導いてくれます。
④Actionにおけるデメリット
Action(改善)におけるデメリットは、改善に向けた行動があるかどうかです。
・数値化された目標や指標
・外部の厳しい判断
から見て改善点が分かっても、改善に向けた行動が着実に実行されなければPDCAのサイクルは途中で挫折します。
・改善に向けて、可能性がある事は試してみる
・途中で逃げ出さず、目標に向かって検証と実行を何度でも繰り返す
といった高い目標を持ってPDCAのサイクルを回さないと最悪な状態に陥ってしまいます。
PDCAを土台にしてOODAを取り入れよう
日本の企業でOODAループを取り入れる企業が増えていますが、PDCAを全てOODAへ変更すれば良いという訳ではありません。
事業全体の計画や見据えるべき未来の土台として、PDCAを定めておくことは重要です。
PDCAを軸にして、状況や状態に応じてOODAを少しづつ取り入れていきましょう。
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