インターネットや扱いが容易なデバイスの普及に伴い、動画マーケティングが注目されています。
動画マーケティングに関心があるけれど未導入な組織の担当者に向け、動画マーケティングの基礎や、メリット・デメリット、活用方法などをご紹介します。
目次
動画マーケティングとは
動画マーケティングとは、企業や商品・サービスのマーケティングを、動画コンテンツを使用して行う手法を指します。
マーケティングとは、単に市場調査を意味するだけではありません。商品やサービスを大量・効率的に販売できるよう、市場調査や製造、輸送や保管といった流通、販売や宣伝などの全過程における企業活動の総称を指します。
インターネット普及前の時代では、動画マーケティングと呼べる戦略は、テレビでのコマーシャルや店頭で映像を流すといった限定的なメディアのものでした。
しかし、インターネット環境が整備され、スマートフォンを代表とする高性能のデバイスが普及したことで、狙ったターゲット層にピンポイントで動画マーケティングを行えるようになってきています。
現代において、動画マーケティングを考慮に入れない企業戦略は、競合他社にアドバンテージを渡す恐れがあると言えるでしょう。
動画市場の動向
2018年11月30日付で、株式会社サイバーエージェントから、動画広告市場の推計と予測が発表されました。
<引用元:株式会社サイバーエージェント AD.AGENCY>
推計・予測のグラフによると、2018年の動画広告の市場規模は1,843億円で、前年対比134%となります。モバイル動画広告の需要は1,563億円で、前年対比143%となり、動画広告の需要全体における85%を占めるとされています。
2024年には、動画市場規模は4,957億円に達すると予想されており、動画マーケティングの有用性の拡大が今後も見込めることがわかります。
SNS普及による動画市場の活性化
動画マーケティングの活発化は、動画市場の拡大が要因となっています。市場拡大を支えているのが、SNSの普及とユーザー数の増加です。
LINE、Facebook、Twitterなどの代表的SNSは、ユーザーの特徴に合わせた動画広告が配信可能なため、企業にとってターゲティングしやすいというメリットがあるツールとなっています。
テレビCMのように不特定多数の人々へ、おおまかな配信をするしか方法がなかったのが、旧来の動画マーケティングです。しかし、すでに時代は、ネットを通してターゲットにピンポイントの動画コンテンツを配信できるマーケティングへと進歩しています。
総務省による『平成29年版 情報通信白書』には、代表的SNSの利用率の推移と、性別・世代別の利用率グラフが公開されています。
<参照:総務省 平成29年版 情報通信白書>
上の図は、総務省が発表する、主なSNSの利用率(2016年 全体版・性年代別版)を示すものです。
2012年では、6つのSNSからいずれか使用している割合が41.4%だったのが、2016年では71.2%となっています。
さらに、性別・世代別でのSNS別利用率を見ても、動画配信サービス『YouTube』の利用率は、提示された11のSNS中、特出していることが読み取れます。幅広い層に向けて、動画マーケティングが活用できると見なせるでしょう。
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動画マーケティング利用の4つの目的
動画をマーケティングで利用する際、4つの目的を明確にすることで効果を発揮できます。
- ユーザーに商品やサービスを見つけてもらい、認知度を向上させる
- 商品やサービスの価値を知ってもらう
- 購入に値するか判断してもらう
- ファン・リピーターになってもらう
動画コンテンツは、文字情報よりもキャッチ―で、音も含めた豊富な情報をユーザーに提供できます。テレビCMと本質は同様で、「商品やサービスを知ってもらいたい」という意図に最適です。
商品やサービスに関心を持ったユーザーは、「もっと詳しく知りたい」というステップに移ります。テレビCMだと、ユーザーに店頭へ行ってもらう必要がありましたが、ネットの動画広告は、1クリックで詳細な商品・サービスサイトへ案内できます。
「購入前に、商品やサービスを確認したい」というユーザーに対しても、動画マーケティングは役立ちます。文字や写真だけではわかりにくいスペックやサイズ、使用感といった情報も、動画コンテンツならわかりやすく伝達できます。
動画による「わかりやすさ」は、ユーザーの好感を得やすく、ファンやリピーターの獲得につながります。4つの目的の明確化で、最適な動画マーケティングを実施できます。
動画マーケティングのメリット
動画マーケティングのメリットとしては、豊富な情報量を伝えられる、という点が挙げられます。
アメリカの調査会社「フォレスターリサーチ」のJames McQuivey博士によれば、1分間の動画で、180万語、Webサイト換算で3,600ページ分に匹敵すると言われています。単純なテキスト・写真だけの場合より、5,000倍の情報量に当たるとされています。
また、経済誌フォーブス・インサイトによれば、シニア・エグゼクティブクラスを対象にしたテストで、未取引企業の動画コンテンツを視聴した人のうち、65%が実際に未取引企業のWebサイトを訪問したという統計が出されています。
さらに、動画コンテンツを視聴した人の45%が、実際のコンタクトに至ったという報告もあり、動画マーケティングによる商品・サービスへの理解度向上が見られます。
- 文字・写真よりも、豊富な情報量を伝達できる
- 内容の理解度を向上させ、購買意欲を促進させる
視聴ユーザーに対し、以上のアクションを促すことで、動画コンテンツ側の成果獲得へとつなげられるのがメリットです。
動画マーケティングのデメリット
動画マーケティングのデメリットとして挙げられやすいのは、導入までのハードルの高さです。
ごく一部の大企業を除けば、動画コンテンツの制作が行える人材や機材、ノウハウを持った会社は無いでしょう。動画マーケティングを実施するには、動画制作会社への外注が必要となります。
外注先には制作費用がかかり、過程においては打合せや詳細決定のための時間もコストとして必要になります。制作費用と時間が嵩むことが、動画マーケティングへの導入をためらわさせるデメリットと言えるでしょう。
デメリットを乗り越えるには、動画制作を外注する前に、先に挙げた『動画マーケティング利用の4つの目的』を理解しておくことが望ましいです。
制作を依頼する前の段階で、動画コンテンツの利用目的を明確にしておくことで、経営者や担当者間で共有され、動画マーケティング全体の軸がぶれない運用につながります。
さらに、利用目的を明確化は、動画制作会社からの意見具申を受けたとき、有用なものを柔軟に取り込む下地になります。「何を、なぜ、どのように変えるのか」がわかりやすくなり、外注先との円滑なコミュニケーションにも役立ちます。
動画マーケティングの活用方法
動画マーケティングを活用するには、取り扱う商品やサービスなどに適したデータを収集し、分析する必要があります。
分析するための指標には、以下のようなものがあります。
- 総合的な再生回数、時間帯別・年代別などにおける再生回数
- 1視聴あたりの平均視聴時間(総視聴時間÷総再生数)
- ユーザー1人あたりの平均視聴時間(総視聴時間÷ユニークユーザー数)
- 視聴率(再生数÷Page View数)
- 再生率(再生時間÷動画コンテンツの尺)
- 再生完了率(コンテンツの最後まで再生した数÷総アクセス数)
- 瞬間視聴時間(瞬間視聴数÷総視聴数)、瞬間離脱率(瞬間離脱数÷総離脱数)
- ユーザーを誘導するキーワード
- 動画誘導のサイト全体のコンバージョンレート(商品購入・資料などの請求・会員登録に達した率)
テレビCMと異なり、Webを利用した動画マーケティングでは、上記のデータがダイレクトに、すばやく入手できます。
自社が定める成果を達成するために、データを軸にPDCAサイクルを速やかに回していくことが、動画マーケティングの効果的な活用方法の基礎となります。
動画マーケティングを活用して成果獲得を成功させよう
動画マーケティング未導入な組織の経営者や担当者に向け、基礎情報や、メリット・デメリットを紹介しました。
自社の商材やサービスの販売アップ、ブランディングの構築など、動画コンテンツを作成して何を目的とするのか、経営陣や担当部署内で明確化して共有することが動画マーケティングへの第一歩です。
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