ビックマックではこれまでに、本社のある福井県をはじめ自治体の広報施策サポートも行ってきました。特に最近は「デジタル広告」を主にした県からのご相談が多くなっています。
今回は、自治体案件に対する動きについて書かせて頂きます。
発注形式と福井県の現状
自治体の予算執行は公共体という性質上、いくつかの契約形態が存在します。
まず一つ目は「随意形式」。これは、一定の金額以下の場合に競争入札を行わずに発注を行える形式です。稀に特定の会社でしか行えない場合への発注時にも該当しますが、大抵は金額の小さい際にとられる形式です。
二つ目が「入札形式」。これは、自治体側が求める内容を細かく指定し、最も提示金額の低い先に発注する形式です。最低入札価格など細かい取り決めはありますが、要は価格勝負です。
三つめは「プロポーザル形式」。こちらは、目的や手段を大まかに提示し予算も明確に指定。提案内容の中身で審査員が採点し最高得点獲得先に発注という形です。全国発信施策など数千万単位の事業はほとんど「プロポーザル形式」になっています。
契約に関しては「随意」「入札」「プロポーザル」の3つのどれかとなってきます。他の地域まではわかりませんが、福井県においては自治体の大きな案件に対し地元新聞社やテレビ局が「プロポーザル」に参加することが当たり前になっています。本来は、PR会社や広告代理店がしのぎを削る形だと思いますが、そもそも県内では対応出来る先が媒体社以外に無いのが実情です。
プロポーザルの疑問点
随意や入札は、明確な基準がありますが「プロポーザル形式」にはいくつか疑問があります。デジタル活用案件の場合なら、そもそも採点者側にデジタルマーケティングを理解している人がいるのかが怪しい状況です。マス媒体と違い多種多様なメニューがあるデジタル広告において、基本的な仕組みをわかっていない人が採点をしても的外れになるだけです。
また経験上、提案作成やプレゼンテーションに時間を使うにも関わらず結果は採択か不採択の通知が送られてくるのみです。参加各社の採点結果も無ければ採択先や採択した理由の説明もありません。
一方では3年ほどで部署異動になるのが県や自治体の慣習で、どうしても職員の方に専門知識が蓄積されにくい面があります。わからないから依頼をすることは正しい選択ですが、少なくとも理解をしている人による採点と結果説明を行うことで得られる提案のレベルを上げる事に繋げられるのではないでしょうか。
獲得確率を上げるためには
県や自治体の案件で、少しでも獲得率を上げるために出来る事をまとめてみました。
媒体社と共同で参加する
媒体社が直接プロポーザルに参加し、ほとんどの大型案件を受注する福井県。媒体社は県の発注案件情報を日々注視しています。足も運んで直接の情報収集を行っています。先方と企画を立てる段階から入り、自分たちが受注できる構図を作ろうと動いています。
効率よく提案に繋げるには、媒体社から相談や情報が入る関係性を築く事が重要になってきます。
過去の取り組みも少し残す
今までと変えるため、新たな先・新たな企画を求めてプロポーザルを行いますが、あまりに大きな変化は採択されにくいという面があります。これは私の経験上、結構当たっている事だと思います。
変化を好まない人もいますし、そもそも採点者の方も今の施策を決めた方と同じ場合も多く現状を全否定されるのは辛いものがあるのでしょう。大きな変更点をメインに置きつつも、今までの良い部分を多少残した提案が受け入れられる可能性も高くなるでしょう。
訴求の対象幅を広目にとる
先に挙げたポイントにも重なりますが、費用効率を考えた上でメインの訴求対象が絞られる場合でも2次的3次的な対象者の訴求策も入れておく方が採択率が上がります。あまりにも狭い層にしか届かない案に対しては、例え理論上正しかったとしても公平性を大事にしている自治体側は抵抗感を示してきます。
満遍なくみんなに届く施策。自治体への提案の際には大切です。
担当者が定期的に変わる
定期的に担当者が変わるので、異動後の4月に関係のある部署には直接確認を入れること。例え、次年度予算で承認されている案件でも担当が変われば内容や金額が変更なる場合があります。
また、新担当者がやる気がある場合は逆に自分の色を出そうと予定をひっくり返す場合も想定されます。大抵一つの建物に複数部署が入っているので、まとめて訪問しておいた方がよいでしょう。
まとめ
自治体とのやりとりは、承認手続きも多くなり速度感を出しにくい面もあります。ですが、現場の窓口の方はしっかり私たちに対応してくれています。もっともっと施策にデジタル分野を取り入れてもらえるよう、こちらも適宜情報提供をしていく事が大切だと思っています。基本は人間同士ですので、どう絡んでいくかだと改めて感じています。
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