アクセス解析ツールは、ウェブサイトの改善や新たな施策を講じるためには、とても有効なツールです。しかし、様々な種類のツールがあるため、どれを選んだらよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?この回では「アクセス解析ツールを選ぶ基準」と「おすすめのツール4選」をご紹介します。
アクセス解析ツールを選ぶ基準とは?
アクセス解析ツールを選ぶポイントとして、自社の環境・ポリシーで選ぶ方法と、ツールに求めるもので選ぶ方法があります。それぞれ注意点がありますので、ツールを導入する前に基準をしっかり確認していきましょう。アクセス解析ツールって何?という方や、アクセス解析の種類についてまだよく知らないという方は、最初に以下の記事をご覧いただくことをおすすめします。
【関連記事:アクセス解析とは?ツールの種類や使用方法も紹介】
システム環境で選ぶ方法
サーバーログ方式
サーバーのログファイルを取得する必要があり、サーバーに解析ソフトをインストールするための権限も必要なため、レンタルサーバーなど、サーバーの一部しか利用できないシステム環境であれば、インストール権限やサーバーのログが取れない可能性があります。さらに、複数のサーバーで運用しているシステムの場合、サーバー同士のログを繋ぎ合わせなければ全体のデータを取得できない場合もあります。
パケットキャプチャ方式
パケットキャプチャ方式は、サーバーの置かれたネットワーク上に機器を設置するため、ネットワーク環境に機器を接続できる環境が必要となります。そのため、自社がレンタルサーバーやホスティングサービスなどを利用している場合は利用できないので注意が必要です。
ウェブビーコン方式
JavaScriptなどウェブページ(HTML)に計測タグを埋め込む必要があるため、PDFや動画閲覧などのタグを設置できないページで、ウェブビーコン方式を利用することはできません。また、クッキーを使ってセッションなどを計測するので、ユーザーがクッキーを使える環境でない場合、正確な情報を取得できません。
組織ポリシーで選ぶ方法
セキュリティーポリシー
自社の情報セキュリティに対する姿勢から導入するツールを選ぶ方法です。近年の急速な通信環境の発展などに伴い、不正アクセスやコンピューターウイルスが無くなることはありません。サイトの利用者への被害だけでなく、企業の信用にも関わりますので、信頼できるツールを導入するようにしましょう。
プライバシーポリシー
自社の個人情報の取り扱い対する基本方針から導入するツールを選ぶ方法です。解析ツールによって個人情報とみなされる項目を取得してしまうかもしれませんので、必ず自社のプライバシーポリシーを確認するようにしましょう。ユーザーがサイトの安全性を判断できる基準にもなるので、しっかりとした対応が必要です。
ツールに求めるもので選ぶ方法
残念ながら、どんなデータにも対応した万能なアクセス解析ツールは存在しません。それぞれ長所と短所があります。自社はツールを使って「何をしたいのか」「どの情報を知りたいのか」「どんな風に使いたいのか」などをハッキリさせておくことで、アクセス解析ツール選びはとても楽になります。
機能
アクセス解析ツールを選ぶうえで重要なのは、「知りたい数値を知れるかどうか」です。機能が多ければ多いほど、管理画面やレポートなどの設定を細かくする必要が出てくるので、結局「よく分からない」といった状況になってしまいます。欲しい数値を得るためにどんな機能が必要なのか、見極めていきましょう。
コスト
無料で使えるアクセス解析ツールもありますが、有料ツールと比べると、計測できるデータや機能が限られていることもあります。大切なのは「知りたい数値を知れるかどうか」ですので、導入・運用金額を見積もった上で、適切なツールを選びましょう。使いたい機能の優先順位を付け、ツールごとにその機能が使えるかどうか、リストを作るのもおすすめです。
使いやすさ
アクセス解析ツールによって使用感は異なります。使いづらさは、すなわち、問題点の発見と改善を遅らせます。「知りたい数値を素早く、簡単に知る」ということも大切です。ツールの導入前に、提供元に詳細を聞いてみたり、実際の画面を触らしてもらったりすることで、実際に使っているイメージを持つとよいでしょう。
また、提供元などのサポート体制が整っていると、万が一のトラブルの際に安心です。自社にとってもっとも効率よく扱えるツールの条件はなにか、今一度考えてみましょう。
アクセス解析ツール おすすめ4選
解析ツール選ぶうえで何を重要視するべきか、イメージを持てたでしょうか?重要視する基準が明確になると、どのツールが自社に適しているのか、簡単に比較、判断がしやすいと思います。ここからは、ツールの解析方式、強みとなるポイントを踏まえながら、おすすめのアクセス解析ツールを4つご紹介します。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスはウェブビーコン方式のアクセス解析ツールです。世界的なシェア1位であり、Googleが持つツールやデータとの連携が強みです。Google広告と連携することによって、詳細な広告評価を出してくれます。しかし、GoogleアナリティクスのユーザーデータはGoogleが使用できる権限を持っているため、導入する前は、個人情報の取り扱いに問題がないか、自社のプライバシーポリシーの確認を行いましょう。
Matomo
Matomo(旧名Piwik)は、サーバーログ方式のアクセス解析ツールです。Matomoはプライバシー機能に優れており、ユーザーのWebサイト上の行動データを利用はしないので、広告会社に共有される心配はありません。データが外部に出ないため、セキュリティやプライバシーに厳しい企業や政府に適しているといえます。
また、MatomoはGoogleアナリティクスに比べて機能がシンプルであり、直感的で分かりやすい管理画面になっています。
「メニューがたくさんあってどこを見たらいいのかわからない」「使わない機能を減らして効率よくデータを知りたい」という方におすすめです。
Splunk(スプランク)
スプランクはパケットキャプチャ方式のアクセス解析ツールです。強みは何といっても、膨大なデータを高速で解析できることであり、それゆえ、成功指標の1つであるマイクロコンバージョンをリアルタイムに分析できます。
アプリのダウンロードや今現在のトランザクション数、コンバージョン数など、リアルタイムに可視化して把握できるので、素早く問題点を発見することができます。
Adobe Analytics
Adobe Analytics(アドビアナリティクス)はウェブビーコン方式であり、Photoshopなどで有名な アドビシステムズが提供している解析ツールです。ワークスペースという機能を利用することで、コンバージョンの計測も多様な設計ができ、簡単に分析することが可能です。
また、最近ではAIを活用した高度な分析機能も提供しており、スマートスピーカー、サイネージ、ストリーミング配信といった計測にも対応しています。
初心者におすすめなのは「Googleアナリティクス」
Googleアカウントをお持ちであれば、すぐに無料で始めることができます。サイトの訪問者数、セッション数、直帰率、ページビュー数などの基本的な項目はもちろん計測可能です。例えば、行動フローからウェブサイトのどこのページから流入が多く、どこで離脱が多いかなども計測できるので、サイトコンテンツの改善へ繋げることができます。
また集計したデータからサイトの課題や改善点の提案もしてくれますので、初心者にとってはとてもありがたいでしょう。もちろん自社が求めるものによって必要なアクセス解析ツールは変わってきますので、運営する前に比較・検討はしっかり行うようにしましょう。
大事なのは事業の成果を上げること
事業の成果を上げるために、必要なデータを知れるアクセス解析ツールは、とても有効です。ツール選びに失敗して、「成果を上げられない」といったことにならないよう、自社の目的をもう一度見直し、必要に応じたアクセス解析ツールを導入していきましょう。
- 最新記事