薬事法を調べているけれど、難しくてよく分からない、どんな広告表現ならいいのか。
Web広告担当者が、「医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品」を扱うときには必ず知っておきたい薬事法の基礎知識、違反時のリスク、広告表現の事例など、知っておきたいポイントを紹介します。
目次
薬事法とは?
薬事法とは、正式名称を「医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器の製造、取扱いなどに関する法律」といいます。
名前のとおり、医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保する他に、製造・表示・販売・流通・広告などを細かく定めた法律で、医薬品等を製造、販売、広告する際には、必ず関わってくる法律なのです。
薬事法の目的
薬事法は、規制対象の「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品」の品質、有効性、安全性を確保することで、保健衛生の向上を図ることを目的にしています。
この法律の対象品は人の健康に密接に関わってくるため、誇大広告で効果・効能を消費者が誤認し使用してしまった場合、健康に被害が出る可能性があります。
そのような事を事前に防ぎ、消費者の安全を守るためのルールなのです。
違反した時のリスク
違反した際にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
ここで違反した際のリスクをチェックしておきましょう。
アカウントの強制停止
何度もガイドラインに反する広告を出稿し、ポリシー違反、不承認を繰り返すと媒体側の判断でアカウントが強制停止となることがあります。
一度、強制停止をされると、URLやアカウントを変更しても、再度配信をすることが難しくなる危険性があります。
懲役や罰金などの罰則
薬事法に違反した場合には、措置命令・課徴金が伴います。
参考:医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律の概要
◎措置命令の一例
- 違反広告の中止
- その違法行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示
- その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置
◎罰則の一例
- 2年以下の懲役または200万円以下の罰金
- 1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金
◎課徴金制度の一例
- 課徴金額=違反を行っていた期間中における対象商品の売上額×4.5%
広告を見て効能や安全性について誤解をした状態で商品やサービスを利用するユーザーの健康が、危険にさらされます。
もしも美容・健康を謳う商品を購入した消費者に健康被害が出たときは、損害賠償や慰謝料はもちろん、商品そのものが販売中止となる可能性も出てきます。もっとも大きなリスクは、消費者の健康が危険にさらされる可能性があることです。
広告事例をみてみよう
「薬事法」の広告規制に違反する・しない表記や表現は、商品やカテゴリーによって違いがあり複雑です。
以下に「薬事法」違反に関わる広告表現例を記載します。
薬用化粧品(医薬部外品)の場合
「治る」「(シワなどが)消える」など、医学薬学上認められている範囲を超える表現や、「アトピー」「便秘」など、特定の疾患名について記載することはNGです。
■NG例
・「アトピーの予防にも効果的です。」
・「ニキビがなくなるクリームです。」
■OK例
・「肌荒れ、荒れ性を予防できる化粧水です。」
・「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぎます。」
体験談・口コミ
「もう手放せない」という表現も、掲載不可とみなされる表現です。自分には、この商品が合っている、個人的に気に入っているという言い方に変えると良いでしょう。
■NG例
・「保湿効果に満足しています。」
・「この商品は、一度使用したら、もう手放せません。」
■OK例
・「さっぱりとした感触で、使用後もべたつきません。」
・「○○の香りが気に入っています。」
他にも、安全性や効能効果を保証する表現や、医療関係者や、研究者、一般人の認識に相当の影響を与える団体等の推薦文などには注意が必要です。
もっと詳しく表現を確認したい方は、以下の資料を参考にしてください。
参考情報:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について厚生労働省
「薬事法」の知識をアップデートしつつ、最大限のPRを
薬事法に触れることを避けようとすると、どうしても本来言いたい表現よりも、訴求が弱くなってしまうということがあります。
法律の範囲内でどのように商品の魅力を伝えるか、表現方法に工夫をこらすことが大切です。
薬事法は、消費者に誤解を与えないため、消費者を守るために存在するルールです。
自分の大切な顧客を守るためにも、ルールを守り、広告を配信することを心がけましょう。
まとめ
今回は薬事法に関する情報と表現上の注意点を紹介しました。
規制を正しく理解した上で適正な表現の広告を配信することが、消費者を守ることになり、さらには自社の利益にもつながるということが分かっていただけたでしょうか。
薬事法やガイドラインを守っていない広告が配信されていると、ライバル社などから指摘が入り、最悪の事態を招く可能性もあります。Web広告担当者の方は、薬事法を確認しておいて下さい。
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