「カスタマーマッチ」とは、企業が保有する顧客データを活用して広告をターゲティングする手法です。これにより、オーディエンスを最適化しつつ、同時に広告費を効果的に使用することができるようになります。顧客データの有効な活用に焦点を当て、Google広告を戦略的に配信する方法について詳細に掘り下げます。
この記事を参考にし、カスタマーマッチを上手に利用し、成果の出る広告キャンペーンを展開してみましょう。
目次
Googleカスタマーマッチとは?
マッチングの仕組み
まず、自社が所有する個人データとGoogleが管理する個人データ(Googleアカウント情報)を照らし合わせます。
一致するリストからターゲティングを設定し、これにより対象となるユーザーがGoogleアカウントにログインした状態の時に広告が配信されるのが、カスタマーマッチの仕組みです。
類似オーディエンスリストも対応
カスタマーマッチに基づくユーザーリストを活用した類似ユーザーターゲティングは、YouTube、Gmail、検索およびディスプレイ広告で有効です。
類似ユーザーのリストは、カスタマーマッチのユーザーが最低条件を満たす場合に自動的に生成されます。類似ユーザーリストを活用する際には、カスタマーマッチやリマーケティングリストと同じように、該当するキャンペーンや広告グループに追加する必要があります。
Google広告のカスタマーマッチのメリット
既存顧客・休眠顧客へアプローチできる
通常配信よりも、効果的に既存顧客や休眠顧客に対するアプローチが可能です。これは、先述の通り、カスタマーマッチでは5つの広告表示面で配信が行われるためです。
広告を複数回目にすることで、休眠顧客や既存顧客に対して自社の認知度を高めることができます。新規顧客の獲得が重要である一方で、時には既存顧客へのアプローチや休眠顧客の再活性化が特に重要となるケースもあります。また、現代では新たな情報が日々膨大に発信されており、既存顧客への適度なアプローチが顧客維持の鍵となるでしょう。
既存顧客を配信除外設定できる
カスタマーマッチを利用すると、情報をアップロードすることで特定の既存顧客を広告の対象から外すことができます。この機能は、主に会員登録や資料請求の促進を目的とした広告を配信する場合に有効です。
広告の目的が会員登録や資料請求である場合、既にこれらのアクションを完了した顧客に対しては、広告の配信が不要です。広告のコスト対効果を考慮し、こうしたケースでは既存顧客への広告配信を除外することが重要です。
既存顧客に近い対象へ拡張配信ができる
カスタマーマッチを利用する際の重要なメリットの一つは、AIが自動的に類似ユーザーのリストを作成してくれる点です。当然ながら、Googleは自社の顧客リストに比べて非常に多くのGoogleアカウント情報を有しています。
カスタマーマッチでは、自社がアップロードした顧客リストを基に、Googleが保有しているアカウント情報から似たような特性を持つ顧客リストを作成して提供してくれます。これにより、新規顧客の獲得にも期待が寄せられます。
カスタマーマッチの効果的な活用方法
Google検索広告・Googleショッピング広告
Google検索にリンクした広告やGoogleショッピングに連動した広告を提供できます。さらに、カスタマーマッチで結びつけたリストのユーザーが特定の検索行動を起こした場合、キーワードの入札や入札単価を調整することも可能です。
Google検索広告では、新規顧客と既存顧客に対してそれぞれ最適化された広告を提供できます。例えば、新規顧客に向けては「無料お試し」や「資料請求」といった広告を配信し、一方で既存顧客にはブランド名や商品名での検索時に再購入を促進し、オンラインサイトへ誘導するような広告も可能です。
その他にも、既存顧客に対しては、就学や就職、子育てなどのライフステージの変化に応じた広告を提供できます。
ショッピング広告では、既存顧客の検索キーワードに対して、入札の強化が可能です。これを利用して、高額な商品を提案したり(アップセル)、関連商品を勧めたり(クロスセル)できます。ただし、これは明確に既存顧客に対して実施され、新規顧客には適用されません。
Gmail広告
Gmailも広告配信面として活用可能です。カスタマーマッチで連携したユーザーのGmail受信トレイに対して広告を配信できます。また、類似ユーザーに対してもGmail広告を配信することができます。
Gmail広告では、商品の購入やサービスの申し込みなど、自社の優良顧客やそれに類似したユーザーに対して効果的に広告を配信できます。これにより、新規の顧客獲得に対して期待が持てます。
Gmail広告では、受信トレイに広告が表示されます。このため、金融や不動産など入力が多いフォームを使用している業種との相性が良いと言えます。
YouTube広告
YouTube広告においてもカスタマーマッチを活用し、広告を出稿できます。この場合、連携したリストのユーザーがYouTubeを閲覧する際にTrueView広告が表示されます。さらに、YouTube広告でも、自社顧客と似た特性を持つユーザーに対して動画広告を提供することが可能です。
YouTube広告は、動画が広告の形式となるため、視聴者に対して他社とは異なる自社独自のこだわりや商品・ブランドの歴史、そして商品やサービスのCMなどを伝えられます。
このため、自社の商品やサービスを既に購入・利用したユーザーやそれに不随したユーザーに広告を配信することで、ブランドロイヤリティを向上させたり、新商品の宣伝ができたりします。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告スペースに掲載される広告形式です。バナー形式で表示されることが一般的で、これがバナー広告とも呼ばれます。
ディスプレイ広告は、もともとはカスタマーマッチの広告形式に含まれていませんでしたが、2019年10月からこの形式も利用可能になりました。
カスタマーマッチを利用する際の注意点
個人情報の取り扱い
Google広告によると、カスタマーマッチを活用する際は、顧客から同意を得た、直接収集した顧客情報のみが許可されています。同意を得る前に保有していた既存顧客データは、基本的には利用できません。
また、自社が保有する個人情報を使用する際には、管理を怠ると個人情報保護法に違反する可能性があります。そのため、電話番号やメールアドレスなどの顧客データを使用する場合は、機密性と安全性の確保などの管理を慎重に行う必要があります。例えば、代理店経由でカスタマーマッチを利用する場合、作成したリストは必ずハッシュ化して送信するようにしましょう。
リストのフォーマットが正しいか
リストが正しく設定されていない場合、エラーが表示されます。そのため、リストのフォーマットが正確に設定されているかを確認すべきです。ファイルの形式が適切か(csv形式)、Email・Phone・First Name・Last Name・Country・Zip・Mobile Device IDのみが含まれているか、電話番号には国コードが含まれているか、メールアドレスにはドメイン名が含まれているかなど、慎重に確認することが重要です。
リスト更新を定期的にする
カスタマーマッチを活用して、コンバージョンしたユーザーを広告の対象外に設定している場合、リスト更新を怠ると、コンバージョンしたユーザーがリストに残り続け、対象外になりません。カスタマーマッチを効果的に利用してコンバージョンを獲得するためにも、設定に合わせたリストの定期的な更新が重要です。
まとめ
個人情報の取り扱いは十分な注意が必要ですが、Googleカスタマーマッチを利用することで、Google広告の配信成果向上が見込めます。
リターケティングや高いコンバージョンの見込みを持つユーザーの獲得などの課題に直面している皆様にとって、この記事が少しでも役立つことを願っています。
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