アンバサダーマーケティングとは?導入するメリットや成功事例について解説

アンバサダーマーケティングとは?導入するメリットや成功事例について解説

アンバサダーマーケティングとは、自社ブランドを愛用するユーザーを、そのブランドの広告塔として活用するマーケティング手法です。

近年、ソーシャルメディア(SNS)の普及により、ユーザーは企業からの一方的な情報発信よりも他のユーザーの口コミを信頼する傾向が強まっています。

このような状況下で自社ブランドの信頼を高め、購買意欲を喚起するために、アンバサダーマーケティングが注目されています。本記事では、アンバサダーマーケティングの基本的な知識や活用事例、実践ポイントを解説します。

アンバサダーマーケティングを活用して、効果的なマーケティングコミュニケーションを実現し、ブランドを成長させましょう。

アンバサダーマーケティングとは

アンバサダーマーケティングとは

アンバサダーマーケティングとは、対象商品やキャンペーンに対して熱い思いや愛着を持つ人、いわゆる熱狂的なファンであるような人に商品やキャンペーンを長期間宣伝してもらうことを言います。アンバサダーは「宣伝大使」や「広告塔」の意味を持ち、公式に企業の広報活動、普及活動を行います。

熱い思いや愛着を持っているという立ち位置であるため、ただ紹介するだけでなく、使用感や魅力をよりリアルに発信してもらうことにより、他のユーザーに対して商品の中身を効果的にアピールすることができます。

たとえば、カルバン・クラインは日本や韓国で人気のBTSジョングクをアンバサダーとして起用したことにより、親会社であるフィリップス・バン・ヒューゼン(PVH)の株が一気に跳ね上がりました。

 

フィリップス・バン・ヒューゼン(PVH)の株が一気に跳ね上がりました。

フィリップス・バン・ヒューゼン(PVH)の株が一気に跳ね上がりました。

アンバサダー就任後には、出来高が367万も増えていることがわかります。それだけ多くの資金が市場に流れ込んだことを意味し、さすがのBTS効果と言えます。

参考:[韓流]BTSジョングク カルバン・クラインのアンバサダーに

インフルエンサーマーケティングとの違い

インフルエンサーマーケティングとは、企業が人気インフルエンサーや有力ブロガーなどに宣伝を依頼し、その人がSNSやブログなどで自社の製品やサービスを発信することで、認知度や売上を高める手法です。

【インフルエンサーのカテゴリー区分 】

カテゴリー フォロワー数 影響度 特徴
メガインフルエンサー 数十万~100万人以上 非常に高い SNSで絶大な影響力を持つ。リーチ力が非常に高い。
ミドルインフルエンサー 10万人以上 高い 知名度が高く、リーチ力が高い。特定のコミュニティで支持を集めている。
マイクロインフルエンサー 1万~10万人程度 普通 特定のジャンルに対する情報拡散力が高い。フォロワーとの距離が近く、エンゲージメント率が高い。
ナノインフルエンサー 数千~1万人程度 低い 狭いコミュニティに対する影響力が強い。フォロワーとの関係性が密接。

インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーのフォロワーや読者に、自社製品やサービスを魅力的に伝えることが重要です。そのため、インフルエンサーの選定や発信内容の企画・制作には慎重に取り組む必要があります。

インフルエンサーマーケティングは、1回限りのスポット契約や数回の連続契約などです。また、契約内容も、商品やサービスの紹介にとどまらず、アンバサダーとしてイベントやプロモーションに参加してもらうなど多岐にわたります。

参考記事:インフルエンサーマーケティングで意識すべきポイント

ステルスマーケティングとの違い

ステルスマーケティング(ステマ)とは、広告であることを隠して行うマーケティング手法です。消費者は、広告よりも口コミを信じる傾向があるため、広告を口コミのように見せることで消費者に誤解を与え、商品やサービスの購入を促します。

多くの広告主企業は、広告と謳ったインターネット広告よりも、ステルスマーケティングの方が売上に直結するという考えから、違法であるにもかかわらず、この手法を続けているようです。

しかし、ステルスマーケティングは消費者に誤解を与え、不利益を与える手法として問題視されています。2023年10月1日からは、景品表示法の改正によりステルスマーケティングが規制されるようになりました。

ステルスマーケティングに違反すると、企業のイメージダウンや顧客離れなどのリスクがあるため絶対に行わないことです。

アンバサダーマーケティングのメリット

アンバサダーマーケティングのメリット

アンバサダーマーケティングには、主に以下の4つのメリットがあります。

温度感の高いPRを行ってくれるユーザーの確保

熱意あるアンバサダーを起用することで、自社商品やサービスの魅力を説得力のある形で継続的に伝えることができます。また、アンバサダーの熱心なファンも、同じく自社商品やサービスを積極的にPRしてくれるようになります。

このような温度感の高い情報発信は、企業のPRだけでは届かなかった潜在顧客の目に留まります。そして、新たなファンが生まれ、さらに温度感の高いPRを行ってくれるユーザーが確保されるという好循環が生まれます。

アンバサダー起用によって、企業は中長期的に自社商品やサービスの魅力を伝え続けることができるユーザーを確保することができます。

低コストでの認知拡大

アンバサダーマーケティングでは、基本的に自社製品や特典を提供するだけで済みます。そのため、数十万円から数百万円もかかるインフルエンサーマーケティングと比べて、大幅に費用を抑えることができます。

有益なフィードバックをもらえる

アンバサダーは、商品やサービスに強い愛着や熱意を持っているため、ユーザー目線の意見を真剣に伝えてくれます。また、アンバサダーのフォロワー数が多いほど、商品アンケートやモニターの募集がしやすくなり、より多くのフィードバックを得ることができます。

これらのフィードバックは、企業が気づかない課題や改善点を発見するのに役立ちます。無料クーポンなどのインセンティブを用意してまで顧客からのフィードバックを得ている企業が多いことからも、その価値は非常に高いものと言えるでしょう。

広告と気づかれにくい

現代人は、常に広告に囲まれており、押しつけがましさを感じてしまうため、広告に嫌悪感を抱く人も少なくありません。

一方、アンバサダーマーケティングは、企業からの指示ではなく、アンバサダー自身の体験や意見に基づいた発信であるため、広告感が少なくユーザーに受け入れられやすいのです。

他の広告よりもユーザーの目を引き、口コミを読んでもらえる割合が高くなります。

アンバサダーマーケティングのデメリット

アンバサダーマーケティングのデメリット

メリットがある一方で、以下の2つのデメリットもあります。

優秀なアンバサダーを見つけ出すことが難しい

アンバサダーマーケティングを成功させるためには、優秀なアンバサダーを見つけ出すことが欠かせません。優秀なアンバサダーとは、フォロワー数が多く、エンゲージメント率が高い、また、自社商品やサービスに強い愛着や熱意を持っている人です。

しかし、そのようなアンバサダーを見つけ出すことは容易ではありません。フォロワー数やエンゲージメント率は、SNSの運用方法やターゲット層によっても大きく異なるため、単純に数値で判断することはできません。

自社商品やサービスに強い愛着や熱意を持っているかどうかは、実際に会って話してみないと判断が難しいものです。

新規ユーザーへの訴求力が弱い

アンバサダーマーケティングは、市場を拡大していくのに必要な新規ユーザーへの訴求力が弱いところがデメリットです。アンバサダー一人当たりのマーケティング範囲は、そのアンバサダーのフォロワー数や影響力によって決まります。

フォロワー数が少ないアンバサダーを起用した場合、そのアンバサダーのフォロワーにしかアプローチすることができず、新規ユーザーへの訴求力は限られてしまいます。

アンバサダーマーケティングで新規ユーザーに訴求するためには、多くの一般ユーザーに広く見てもらえるアンバサダーを見つけ出す必要があります。

アンバサダーマーケティングを成功させるポイント

アンバサダーマーケティングを成功させるポイント

 アンバサダーマーケティングを成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえましょう。

ターゲット層の明確化

アンバサダーマーケティングは、ターゲット層にリーチするために有効な手法です。まずは自社の商品やサービスがどのようなターゲット層に支持されているのか、ターゲット層を明確にする必要があります。

ターゲット層が明確になれば、そのターゲット層にリーチできるアンバサダーを探しやすくなります。

ブランド目標に合うアンバサダーの選定

アンバサダーを起用する際には、そのアンバサダーがどのような役割を果たすべきか、明確な目的を定めることが必要です。目的を定めた上で、その目的を達成するために必要なアンバサダーの条件を明確にしましょう。

具体的には、以下の3つの条件が挙げられます。

  • フォロワー数:多くのフォロワーを抱えているアンバサダーは、多くのユーザーに商品やサービスをアピールすることができる
  • 影響力:特定の分野やコミュニティで影響力を持つアンバサダーは、その分野やコミュニティのユーザーにリーチすることができる
  • 親和性:商品やサービスのターゲット層と親和性が高いアンバサダーは、ターゲット層に受け入れられやすい

アンバサダー自身の目標とブランドの目標が合致すれば、アンバサダーはより積極的に活動し、効果的なマーケティングを実現することが可能です。

アンバサダーとのコミュニケーション

アンバサダーとのコミュニケーションは、商品やサービスに対する愛着や熱意を高めるためにも大切です。アンバサダーは、ブランドの最も熱心なファンです。

そのファンを孤立させてしまうと、愛着や熱意は徐々に薄れていきます。アンバサダー同士が交流できる限定コミュニティを構築したり、ブランドの特別な待遇を受けていることを実感させたりすることで、愛着や熱意を高めることができます。

アンバサダーマーケティングの成功事例

アンバサダーマーケティングの成功事例

最後に、アンバサダーマーケティングの成功例をご紹介します。アンバサダーマーケティングを実践してみたいけれどイメージが湧かない、という方は参考にしてください。

ワークマン

ワークマン

引用:ワークマン

ワークマンは、2019年にアンバサダーマーケティングを本格化しました。製品を愛用して自発的に情報発信をしている方をアンバサダーとして採用し、コラボ製品の開発やファッションショーの開催など、さまざまな取り組みを行っています。

アンバサダーへの協力の見返りとして、ワークマンは以下の3つを提示しています。

  1. 製品情報をいち早く入手して発信できる、製品情報の優先開示
  2. 公式SNSや通販サイトなどで、アンバサダーの投稿を積極的に紹介する露出への貢献
  3. 製品を無償で提供したり、活動費を負担したりする支援

 

もともと作業服専門店だったワークマンは、実用性や機能性の高い商品をSNSで発信することで、アウトドアや普段使いにも使えるブランドとして人気を獲得しました。その結果、女性ユーザーも増え、「ワークマン女子」と呼ばれる熱烈なファン層も形成されています。

溶接作業用の上着である「溶接用ヤッケ」は、もともとワークマンの定番商品でしたが、アンバサダーの投稿により10万枚の大ヒット商品となりました。

ネスカフェ

ネスカフェ

引用:ネスカフェ

ネスカフェアンバサダーは、ネスカフェのコーヒーマシンをオフィスに普及させるために、ネスレが始めた取り組みです。アンバサダーになると、コーヒーメーカーが無料でレンタルできるほか、マシンの修理や交換も無料で受けることができます。

ネスカフェのコーヒーマシンは、オフィス用の方が家庭用よりもシェアが低く、またオフィスの多くが少人数であることから、営業活動が難しいという課題がありました。そこで、ネスレはオフィスの社員にアンバサダーになってもらい、ネスカフェをオフィスで宣伝してもらうことにしました。

アンバサダーは、オフィスの同僚などにネスカフェの商品を紹介したり、ネスカフェのカプセルを購入したりすることで、コーヒーメーカーを無料でレンタルすることができます。ネスレは、アンバサダーの活動を通じて、オフィスでのシェアを拡大することに成功しました。

まとめ

アンバサダーの募集は、企業の商品やキャンペーンのファンがいないと募集することができません。また、アンバサダーの投稿内容の「質」によってマーケティングが成立するため、無理に募集しても効果は得られないからです。

アンバサダーを募集するには商品やサービスの内容によって変わるため、まずは選定する基準を設けて募集しましょう。

マーケティングでお悩みでしたら、
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