「データドリブン」という言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか。データ分析の結果から意思決定を行っていく手法として、外資系企業やIT企業で使用されることの多い用語ですが、一般企業ではまだ馴染みがあまり無いかもしれません。今回はデータドリブンについてと、実際の導入方法に付いて解説していきます。
データドリブンとは?
データドリブンとはデータ駆動とも呼ばれています。効果測定などで得たデータを分析し、これからの行動を予測したり、どういう選択を取るべきか決めていく行動を指します。
1つのデータのみではなく膨大なデータ、ビッグデータを分析する計算モデルで、分析した各データを可視化し問題解決を計ります。
ビジネスの分野におけるデータドリブンの役割
ビジネスの分野において、データドリブンはデータドリブンマーケティングという手法が知られています。データドリブンマーケティングとは、データを元にマーケティングを行っていくことを意味します。商品が売れるまで、サービスの提供が終わるまでの関係というわけではなく、顧客と継続した関係を維持していくためにデータを分析し、より費用対効果の高い選択を行っていきます。
他分野でも活用されるデータドリブン
データドリブンは人事や人材採用の場面でも活用されるようになってきています。継続的に評価することにより相手の能力を最大限発揮することができることから、スポーツの分野、特にプロのチームで重要視されており、チーム全体の強化が期待されています。
何故ビジネスの分野でデータドリブンが必要とされるのか
実は今、データドリブンが1つの企業の将来を決めるほど重要な存在なのです。「データは21世紀の石油」と言われるほど、我々の社会ではデータが重要となっています。データを活用することによって社会や企業が抱える問題を効率的に解決し、さらに生産性を高めることにも繋がるためデータドリブンを活用する企業が増えています。
購買行動の複雑化に適用するため
デジタル化が進んだことにより、個人と企業が現実とWeb上とで自由に行き来し、商品やサービスを購入、提供を行なっています。集客から顧客化、さらに顧客の維持までの流れに多くのパターンが存在するようになっているのです。店で直接顧客とやり取りしていた頃と比べ複雑化した購買行動は、データの分析なしでは企業側がどのような戦略、費用対効果を計るべきか決めることが非常に難しい課題となっています。
デジタルマーケティングの技術に適応するため
リスティング広告を運用し検索結果ページに自社広告を掲載することや、YouTube等の動画サイトで動画広告を配信するばど、製品の認知度を拡大するためデジタル上で展開するマーケティングをデジタルマーケティングと言います。
1990年代ではテレビで流れるCMや雑誌、新聞広告、街頭広告などが主なマーケティングの場所となっていました。しかし現在マーケティングは完全にデジタル上へ移行しており、結果、デジタルマーケティングの施策効果を高めることや、効率の良いマーケティング活動を行うための技術が急激に発展しました。ビッグデータやデジタルマーケティング技術の発展により、今までになかったマーケティング施策が実行されるようになり、データドリブンマーケティングも多数活用されています。
デジタルマーケティングにおいて、データドリブンは大きく進化してきているのです。また、データドリブンはBtoC(企業と個人との取引)だけでなく、BtoB(企業と企業との取引)やCtoC(個人と個人との取引)でも活用することができます。
実際にデータドリブンを活用するときの流れ
データドリブンの活用と言っても、データを集めて分析し行動に移すだけ、とシンプルではありますが実際に行うとなると簡単ではありません。確実に成功へ導くためにも、各ポイントを理解し実行に移していきましょう。
ポイント1:データの収集を行う
分析するために必要なデータを収集します。しかし闇雲にデータを集めても膨大な時間と労力がかかり、結果に繋がるまでの道のりが長くなってしまします。事前に必要なデータ、注目すべきデータを選択する必要があります。何に対する情報がどの程度必要なのか明確にし情報を集めましょう。コールセンターに集まる顧客の意見も重要な情報となりますので、見落としが無いようにしましょう。
また、データを収集する仕組みを前もって準備する必要があります。POSシステムや顧客管理システム(CRM)、DWH(データウェアハウス)などを導入し、データを管理できる環境を整えておきましょう。
ポイント2:集めたデータを可視化する
収集したデータを理解しやすいように可視化します。収集したデータの中には必要のないデータが含まれている場合があります。データを整理して分類し、目的に合わせて見やすいように加工しましょう。データの可視化作業を手作業で行うと、かなりの時間を必要とします。
ビッグデータや企業内の情報を収集するツールとして、最近ではBI(Business Intelligence)ツールやDMP、Web解析ツールなどがありますので、少ない時間でデータの可視化を行うことができるよう活用しましょう。Excelにもデータ分析機能はついているので、Excelを使用するのも良いでしょう。
ポイント3:可視化したデータを分析する
可視化したデータを分析します。ビッグデータの分析に関しては、データアナリストなどといった専門的なスキルが欠かせないと考えられていました。しかし、現在ではBIツールにデータ分析機能が組み込まれていることも多く、データの可視化から分析まで自動(オートメーション)で行うことが可能です。データを分析できる人材がいない場合は、上記のようなツールを使いましょう。
また、データ分析のツールを使用する以外にも、自社独自の経験からデータの意味付けを行うのも良いでしょう。
ポイント4:分析したデータを元にアクションプランを検討する
分析した結果を元に、アクションプランを検討していきます。設定した問題解決に向けて、いつ、誰が、何を、といった計画をたてましょう。計画はできるだけお金のかからない内容にすることをおすすめします。現在の経営状況を圧迫する対策や、必要な人材がいない状況での実行は大変危険です。データドリブンを活用しても、無理のある対策は悪い結果に繋がることになりますので、アクションプランは適切な内容を検討してください。
ポイント5:検討したアクションプランを実行する
分析から導き出されたアクションプランを実行していきましょう。企業の組織形態によってはなかなか実行に移すことができない場合や、実行が許可されないこともあります。上記の場合は、デジタルマーケティングやデータ分析を理解できる人、組織を統率し実行に移せる人材をチームに加えておく必要があります。アクションプランを実行後は結果が出ているか評価し、効果が出ていないと判断すればアクションプランを修正していきます。
または、データ収集や分析結果に問題がなかったのかを再検討するなどして対処していきます。しかし、ポイント1からポイント5の内容に不備があったり、市場が変化したりなどの理由でアクションプランの効果的が得られないこともあります。何度か作業内容の見直しが必要となることがありますが、データ収集からアクションプランの実行までの流れを繰り返すことは、より効果的なデータドリブンを行うことに繋がります。
データドリブンを取り入れ成果を高めましょう
データドリブンの活用方法についてセミナーを行なっている企業もありますので、参加し理解を深めてみるのも良いでしょう。今後さらに多様化していくであろう顧客のニーズに応えるためにも、データを活用していくことが必要となってきます。データ管理ツールなどを活用し、アクションプランを検討し実行していきましょう。