スマートフォンアプリが普及し、マンガアプリもいろいろと普及してきました。マンガアプリを使用しているといろいろな所で広告を目にし、ちょっとしたストレスになってきています。この記事では、出版大手とIT企業が開発したマンガアプリの広告プラットフォーム「MangaAdPlatform」について説明します。
MangaAdPlatformとは?
MangaAdPlatformとは、出版大手株式会社小学館(以下、小学館)と株式会社集英社(以下、集英社)、IT企業のFringe81株式会社(以下、Fringe)が共同して制作したマンガアプリに対して企業広告の出稿や運用ができるサービスです。MangaAdPlatformは、2019年8月に提供が開始され、2社のマンガアプリ内に広告を出稿することができます。
小学館が運営している『マンガワン』は10、20代男性に圧倒的人気でダウンロード数は1,750万を超えるマンガアプリです。また、集英社が運営している『少年ジャンプ+』は20、30代男性から幅広い支持を受け、ダウンロード数1,100万を超えるマンガアプリです。
ふたつとも日本において最大級のマンガアプリで、多くのユーザーに対して広告の配信が可能になります。
相性の良いアドフォーマット
MangaAdPlatformは、広告を掲載するマンガアプリに合うようフォーマットの開発に力を入れていて、ユーザーから広告を避けられることなく配信できるようになっていっています。
フォーマットには、マンガのコマ割りのような「マンガ風」デザインや、ちょっとした作品のマメ知識を掲載した「コンテンツセット型」など、広告と情報が同化したフォーマットを繰り広げています。MangaAdPlatformは順次新しいものを拡張していく予定だそうです。
MangaAdPlatformは、ユーザーがマンガを読み終わった後に広告が表示されるようになっています。マンガを読み始める前や、読んでいる途中に広告を表示させるわけではなく、最後まで読み終わってから広告が表示されます。また、他社のマンガアプリ広告と比較してもユーザーの広告に対するストレスは少ないようです。
配信開始に至った背景
スマートフォン向けアプリやサービスが普及している中、多くのマンガアプリがリリースされ、利用者の数はますます増加しつづけています。マンガアプリを利用する月間の利用者数は2500万人(上図)規模まで成長してきています。また、アクティブユーザー(MAU)も130%以上と伸びてきています。
利用者数が伸び続けている一方、広告を掲載しようとする広告主や代理店にとって、各マンガアプリ独自の掲載基準やフォーマットがあるため、広告効果の比較や最適化ができない状況でした。よって、広告を配信する媒体としては高い能力があるにもかかわらず、広告を出す基準がわかりにくいという問題もあります。また、アドネットワーク経由で対応できない、マンガ独特の広告表現の発展など課題が残ります。
出稿基準が分かりにくいという課題を解決するために、優良な作品を多くもたらしている小学館や集英社など出版会社とFringeは共同で、数あるマンガアプリに対し、一括して広告掲載を管理できる共同のプラットフォーム「MangaAdPlatform」をリリースすることとなったのです。マンガアプリへ広告を出そうと考えている広告主や広告代理店が、MangaAdPlatformを使用して、効果のある広告出稿ができるようになっていくと思います。
独自のターゲティング
マンガアプリの閲覧作品や検索などのデータを機械が学習し、年代、性別などターゲティングが可能となります。また、サイトトラッキングなどのセキュリティの影響を受けないため、精度を落とさず配信ができます。ターゲティングは次の通りです。
10代、20代、30代など年齢別、性別など、ユーザーが登録したデータをもとに機械が推測してターゲティングを行います。登録データを元にしたターゲティングは、アドネットワークなどでは配信できないマンガアプリ独自のメニューです。
マンガアプリ独自のターゲティングとして、「アクション」「コメディ」「スポーツ」「ファンタジー」「ドラマ」「恋愛」「日常」「その他」の8つの作品カテゴリに分類され、指定配信ができます。他にも、OS別(iOS/Android)やフリークエンシー制御(任意の日数内でユーザー単位に表示回数の上限を設定)、配信時間帯や曜日(1時間単位での時間設定)、通信環境(モバイル/Wi-Fi)と、様々なターゲティングを設定することができます。
マンガアプリは、ターゲットに合わせてターゲティングの組み合わせることができ、様々な配信を行っていくことができます。
マンガアプリで広告配信をするメリット
広告をマンガアプリに配信するメリットとして、ターゲットとしたユーザーに向けて最適な広告が配信できるということです。マンガを実際に使用することで、ユーザーの興味関心を引きやすいだけではなく、広告らしさが無くなるため、マンガアプリ広告に対しての不快感を無くし、ユーザーから受け入れられやすくなる期待が持てます。
マンガ作品と提携している企業バナーを見ると、マンガアプリ以外の広告よりも目に止まり、記憶に残って感じがあります。事例として、アテレコ広告を配信し、滞在率が通常の広告と比べて19.2%アップし、広告閲覧人数も6万人アップしているとのことです。
今後のマンガアプリの発展
広告が配信されるマンガアプリは今後も順次追加されていく予定です。また、TwitterやFacebook などの運用型広告の配信結果のデータを元に、クライアントのサービスと相性の良いマンガ作品の発見など、プロモーション以外のマーケティング全般への展開も視野に入れているそうです。