顧客の多様化やデジタル化の進展などにより、マーケティング領域はますます複雑化しています。マーケティングアナリティクスは、複雑化したマーケティング活動の現状を総合的に把握し、マーケティングのROI(投資対効果)の最適化を進め、最適な意思決定につなげるための手法です。
最新のマーケティング戦略である「マーケティングアナリティクス」について、手法やツール、活用事例を交えながら紹介します。
マーケティングアナリティクスとは?
マーケティングアナリティクスとは、直訳すると「売れる仕組みを作るための分析」ということになります。マーケティングは、ひとことで言うと「売れる仕組みを作ること」、アナリティクスは分析です。
マーケティングのチャネル(集客経路・媒体)が複雑化する中、チャネルを横断したデータ収集や統合が求められています。ユーザーの体験向上やライフサイクル全体をとらえたマーケティング戦略が必要となってきた現代において、より深いインサイト獲得、より効果的なマーケティング施策への転換が重要です。
マーケティング領域においては、これまでさまざまなツールが活用されてきました。
Googleアナリティクス(GA)やSEOツールなどのWebサイトやSNSツール、営業支援のためのマーケティングオートメーション(MA)ツールやSFA、CRMなどがあります。
今後は上記のツールから得られたデータを横断し、統合した分析やマーケティング投資の最適化を実現するうえで重要なマーケティングアナリティクスが求められているのです。企業のさまざまな接点から得られるデータを一元的に集約し、分析するためのソリューションとして、近年注目を集めています。
マーケティングアナリティクスと従来の分析手法との違い
では、従来の分析手法とマーケティングアナリティクスはどう違うのでしょうか?
最も一般的な分析の手法としては、Web解析ツールの1つである「Googleアナリティクス(GA)」が良く知られています。
GAは、簡潔に言うとWebサイトの効果を分析するためのツールです。例えば、どんな人がサイトを見ていて、どこをクリックして見ているのか、滞在時間はどのくらいかなどを計測することが可能で、これらのデータをWebマーケティングの施策に生かします。
しかし、これらの基本的な指標だけではマーケティング全体の効果を検証するうえで厳しいことが指摘されています。企業のマーケティング施策は、Webサイトだけでなく、SNSやリアルなプロモーション活動、営業活動など多岐にわたるからです。
- Webサイトの指標
- ソーシャルメディアのデータ
- Webアクセス解析
- キャンペーンの成果
などのデータを統合して得られたものから、マーケティングのパフォーマンスをより高める改善策や今後実施すべき新たな施策、長期的な施策を見出していきます。
さまざまなマーケティング施策のデータを1つのプラットフォームに可視化し、その成果を検証することを可能にするのがマーケティングアナリティクスです。マーケティングアナリティクスは、必要に応じて複数のマーケティングツールを組み合わせたり、さまざまなデータを統合したりして成果の検証を進めます。
GAだけでなく、MAツールやCRMなど他のマーケティング活動を支援するツールと連携することも可能です。連携事例について、後ほど詳述します。
マーケティングアナリティクスの目的3つ
マーケティングアナリティクスの目的として、次の3つがあります。
①マーケティング投資効果(ROI)の最適化
②複数の指標を統合して分析する
③マーケティングの成果を高める
それぞれについて詳しく解説します。
マーケティング投資効果(ROI)の最適化
まず、マーケティング投資効果(ROI)の最適化です。
実店舗やオンライン、広告やSNSなどさまざまなマーケティング活動における効果を検証するためのデータを1つに集約し、成果の高いマーケティング施策を可視化します。さらに、成果の低い施策についても明らかにして、予算の組み替えをするなどコスト削減やより収益性の高い施策実施につなげます。
複数の指標を統合して分析する
さまざまなマーケティング活動から得られた複数の指標を統合して、効果のない施策を明らかにしていきます。あるいは多くの生かしきれていないデータから、潜在的なニーズやリード(見込み顧客)への施策を打ち出していきます。
マーケティングの成果を高める
こうしたマーケティングアナリティクスを進めていくことで、顧客理解と顧客の最適化、より深いインサイトの獲得、顧客の満足度向上や長期的な改善策・より正確なKPI設定にもつなげます。
例えば、自動車販売においては、ユーザーとの接点は多岐にわたり、自社サイトや広告による情報発信、電話やメールによる問い合わせ、実店舗での試乗・商談など、それぞれからユーザーに関するデータ取得が可能です。
しかし、これらのデータはバラバラに管理されており、ユーザーがどのような行動を取ったのかを正しく把握し、データとして蓄積できていないというケースも多いのではないでしょうか。
マーケティングアナリティクスを活用することで、企業はさまざまなチャネルから得られるデータを統合して分析することができます。これにより、顧客のニーズや行動をより深く理解し、効果的なマーケティング施策を実施することが可能になります。
Googleアナリティクス(GA)との連携事例
マーケティング分析は、さまざまなマーケティングツールと連携した事例がありますが、Googleアナリティクス(GA)と連携するとより効果的です。
GAの機能やGA連携の事例について解説します。
GAとは
GAの機能について簡潔に先述しましたが、ここでは詳しく解説します。
GAでは、ユーザーの情報を把握できるさまざまなメニューが付いており、次の5つの課題を把握することができます。
- リアルタイムで誰が見ているのか
- 閲覧しているユーザーの情報
- ユーザーがどこをクリックして何を見ているのか
- ユーザーの流入先はどこなのか
- コンバージョン(目標)の達成
GAで得られたデータを収集して、レポート作成し、改善策の提案や実施といったかたちでPDCAを回していきます。Googleが代表的な検索エンジンである以上、Webサイトのマーケティング活動においては、GAは欠かせない存在となっています。
※GAの基本的な機能についてはこちらから、GA4についてはこちらをご覧ください。
GA連携の重要性
先述したようにGAではWebサイトのアクセス解析が可能ですが、こうしたデータをMAツールと連携することで、より効果的な計測が可能となります。
MAツールとは、マーケティング施策に関する業務を自動化・効率化するための仕組みやツールのことです。あらゆるデータを統合し、見込み顧客(リード)の獲得から育成まで幅広く活用されています。
見込み顧客の管理や属性別に行うコンテンツの自動配信のほか、Webサイトやブログなどのアクセス解析にも対応しており、GAと連携することで、よりその効果を発揮できます。
また、MAツールは、クロージングや受注、アップセルの段階に活用されるSFAやCRMとの連携もできるため、これらを統合することもプラットフォーム導入により多くのツールとの連携が可能となります。プラットフォーム導入について、詳しくは「代表的なマーケティングアナリティクスツール6つ」で後述します。
GA連携事例
MAツールとGAを連携することで、マーケティング活動の成果をより効果的に把握することができます。
具体的には、以下のような計測が可能になります。
- 流入元情報の計測
- 見込み客のアクションの計測
- データの統合
流入元情報の計測では、広告やメールマガジンのURLに流入元を識別できるパラメータを設定することで、訪問者がどこから来たかを正確に把握することができます。
これにより、MAツールを使った例えばこのようなキャンペーンのCV数を把握することが可能になります。
- 問い合わせ・資料請求
- 資料のダウンロード
- セミナー申込み
ツール連携により、GAのみのデータによるレポート作成や各種のデータを取り込んで、グラフにしたり、一覧表示したりすることも可能です。さまざまなツールとの連携により、データの可視化、分析の可能性が広がります。
マーケティングアナリティクスの手法3つ
マーケティングアナリティクスの手法は、次の3つに分けられます。
①データ収集と分析
②効果的な戦略を立てる
③AIを活用したマーケティング分析
データ収集と分析
マーケティングアナリティクスでは、さまざまなマーケティングチャネルからのデータを1つのプラットフォームに集めて、分析することが可能であることが非常に重要なのです。
各部署でバラバラになっていたデータを総合的に分析し、より効果的な施策を明らかにし、効果の低い施策や収益の低い施策を見直します。
効果的な戦略を立てる
データ収集と分析をもとに得られた結果から、効果的な戦略を立てて施策を改善したり、より効果的な施策を推し進めたりします。
AIを活用したマーケティング分析
データの統合と分析に加えて、AIを活用することで、データからパターン・傾向を自動的に抽出することができます。これにより、マーケティング活動の効率化や効果の向上につながります。
AIを活用したマーケティングアナリティクスにより、より深いインサイトや潜在的なニーズの探索が可能となります。これまでの分析では気付かなかった有力な潜在顧客へのアプローチにつなげ、機会損失の削減につなげられ、より効果的なマーケティング活動を実施することができます。
代表的なマーケティングアナリティクスツール5つ
マーケティングアナリティクスのプラットフォーム(ソリューション)として、次の5つの製品があります。
①Marketing Hub(マーケティングハブ)
②Adobe Marketo Engage(アドビマルケトエンゲージ)
③Qlik Sence(クリックセンス)
④B2B Marketing Analytics(ビートゥビーマーケティングアナリティクス)
⑤Sprinklr(スプリンクラー)マーケティングアナリティクス
それぞれ、既存のシステムやツールと連携することも可能です。5つのソリューションの機能や特徴、費用について順に紹介します。
Marketing Hub
HubSpot社のマーケティングソフトウェアとして、「Marketing Hub」があります。
機能として大きく次の3つに分けられます。
- マーケティングのすべてのツールとデータを1つにつなぐ
- WebチャットやSalesforce連携が可能
- ビジネスの成長に合わせて機能を拡張できる
Marketing Hubでは、1つのダッシュボードですべてのマーケティングツールから得られたデータをつなぐことが可能です。そのため、部門間の連携やデータの統合がスムーズになり、顧客とも深いかかわりが築けることや、ビジネス成果の向上が期待できます。
顧客のライフサイクル全体をトラッキングし、マーケティング施策との関連性や収益を把握したり、CRMデータを分析し、重要なトレンドを特定するためのレポートを作成したりします。
Webサイト訪問者のアクションを追跡することで、行動を理解し、ワークフローを自動的に作成するなど便利な機能が付いています。このほかEメールやブログ記事、SNSなどマーケティングアセットに関するさまざまなレポートが作成され、1つのダッシュボードで追跡することが可能です。
費用は、無料~432,000円/月まで4つのプランがあり、主な機能は次のようになっています。
無料ツール | Eメールマーケティングやランディングページ、ウェブチャットなど |
Starter(月額2,160円〜) | 上記に加えて、マーケティングオートメーションやリターゲティング広告、ランディングページのレポートなど |
Professional(月額96,000円~) | 上記に加えて、オムニチャネル対応のマーケティングオートメーションやSEO(検索エンジン最適化)、ブログ、ソーシャルメディアなど |
Enterprise(月額432,000円〜) | 上記に加えて、
・ABM(アカウント ベースド マーケティング) ・適応型テスト ・予測リードスコアリング ・マルチタッチ収益アトリビューション ・カスタマー ジャーニー アナリティクス |
上記の表は、こちらを参考にしています。
Adobe Marketo Engage
Adobe Marketo Engage(アドビマルケトエンゲージ)は、「MA(マーケティングオートメーション)ツール」としても知られています。
Adobe Marketo Engageには次の5つの機能があり、それぞれ次の特徴を持っています。
機能 | 特徴 |
マーケティングオートメーション | 顧客体験を設計、関係を構築し、より深いものへと推進 |
アカウントベースマーケティング | アカウントごとに最適なアプローチを取り、商談勝率を高める |
リード管理 | 成約可能性の高いホットリードを営業へ共有 |
電子メールマーケティング | 興味関心に合わせた対話により、顧客を引きつける |
マルチタッチアトリビューション | マーケティング効果の証明と向上 |
こちらの製品では、カスタマージャーニーのあらゆる接点でマーケティング施策の効果を測定・評価し、最も高いパフォーマンスを発揮しているアセットやチャネル、キャンペーンを特定します。このことにより、効果の高い施策への投資を強化し、ROIを最大化させることが可能となります。
レポートツールにより可視化し、マーケティングの成果として提示することで今後の施策提案につなげることも可能です。
費用については公開しておらず、導入の相談ページから問い合わせる必要があります。
Qlik Sence
Qlik Sence(クリックセンス)の機能や特徴としては、次の4つがあります。
- 連想分析エンジンは、データを探索してインサイトを明らかにする
- AI を基盤に組み込み、独自に統合された拡張アナリティクス機能
- リアルタイムのインサイトを提供し、迅速なアクションをサポート
- 場所を問わずデータを分析することが可能
AIを活用し、データに潜むインサイトや関係性を自動的に明らかにして、より深いインサイト獲得を目指すことが期待できます。また、アプリ、データベース、クラウドサービス、ファイルなど、あらゆるデータ情報源と容易に接続して 1つに統合することができ、データサイロの解消やより正確なKPI設定につなげることにも期待できるでしょう。
費用については公開していないものの、無料トライアルが可能です。
B2B Marketing Analytics
B2B Marketing Analyticsは、マーケティングデータやセールスデータのデータ分析を効率的に行うためのツールです。顧客情報を管理するCRMツール、Salesforceと連携し、大量のデータを管理・分析することができます。
機能は次の4つのプランによって、異なります。
Growth | 中小規模のビジネスが対象。リードジェネレーションや電子メールマーケティング、ランディングページの作成、基本的なデータ分析など |
Plus | 成長している企業やマーケティングチームが対象。上記の機能に加えて、高度なセグメンテーションやA/Bテスト、CRM統合、ソーシャルメディア連携機能など |
Advanced | 大企業やマーケティングチームが対象。上記の機能に加えて、高度なレポートとダッシュボード、マルチチャネルアトリビューション、プロスペクトトラッキングなど |
Premium | 最上位プラン。上記の機能に加えて、カスタムユーザーアクセス設定やサンドボックス環境、最優先サポートなど |
費用については公開しておらず、資料請求などの問合せから確認できるようです。
Sprinklrマーケティングアナリティクス
Sprinklrマーケティングアナリティクスでは、次の機能があります。
- すべてのマーケティングキャンペーンおよびアクティビティの情報を一元管理
- キャンペーン実施中のパフォーマンス、トレンド、インサイトを追跡
- 今後のキャンペーン戦略に向けたライブレポートに簡単にアクセス可能
- すべてのチームメンバーが重要なマーケティングインサイトにアクセスができる
運用により、次の効果が生まれているとしています。
- マーケティングスタックを簡素化し、生産性を70%以上向上
- リアルタイムの最適化によって、セールスを5.7%向上
- 可視性を向上して、運用コストを50%削減
費用については公開しておらず、問合せフォームからビジネスニーズに合わせた提案をしているということです。
マーケティングアナリティクス導入のポイント4つ
マーケティングアナリティクス導入のポイントは、次の4つです。
①自社のマーケティング目標や課題を明確にすること
②必要なデータを収集・活用できるソリューションを選ぶ
③自社の既存システムやツールと連携できるソリューションを選ぶ
④自社の業種やビジネス特性に合ったソリューションを選ぶ
詳しく解説します。
自社のマーケティングの目標や課題を明確にすること
マーケティングアナリティクス導入には、自社のビジネスや環境にあったソリューションを選ぶことが重要です。そのためにはまず、自社のマーケティングの目標や課題を明確にしましょう。
例えば、既存顧客の売上アップや新規顧客の獲得、顧客体験の向上などが挙げられますが、これらの目標や課題を達成するために必要なデータや分析方法が見えてきます。課題の優先順位も確認しておきましょう
必要なデータを収集・活用できるソリューションを選ぶ
さらに目標や課題に必要なデータを収集・活用できるソリューションを選びましょう。
そのためには、どのようなデータを収集し、どのように分析するかを検討する必要があります。例えば、顧客の属性情報や行動履歴、購買履歴などが挙げられます。また、データ分析には、機械学習やAIなどの技術を活用することもあるでしょう。
自社の既存システムやツールと連携できるソリューションを選ぶ
すでに使っているシステムやツールがあれば、連携できるソリューションを選びましょう。
MAツールやSRM、GA4など既存のシステム・ツールと連携できるかどうかは、選定のうえで重要な要素となります。
自社の業種やビジネス特性に合ったソリューションを選ぶ
ソリューションは、「代表的なマーケティングアナリティクスツール6つ」で先述したようにさまざまな企業から提供されています。そのため、自社のビジネスや環境に合ったものを選ぶことが重要です。
例えば、扱う商品やサービスの種類、顧客の属性、既存のシステムやツールとの連携状況などが挙げられます。
上記のポイントを踏まえて、自社のビジネスや環境に合ったソリューションを選ぶことで、効果的なマーケティング施策につなげることができます。
マーケティングアナリティクスの活用事例
マーケティングアナリティクスの活用事例として、次の2社の活用事例を紹介します。
①デロイトトーマツ社
②Adobe Marketo Engage
デロイトトーマツ社
デロイトトーマツ社の活用事例です。課題と現状は次のようになっており、次の成果が得られました。
課題:従来から行われてきた施策のROIを用いた投資意思決定から脱却し、より精度が高く根拠のある意思決定方法を確立したい。
現状:年間販売マーケティング予算はX00億円。
成果:
- 200以上打ち出す施策の中で、重ね合わせても効果のない施策が判明
- 問題のあるセグメントを改善することにより、売上を落とすことなくマーケティング&セールスの投資額を削減
- 年間約$40-50millionのコスト削減に成功。
アプローチとしては、商品・エリア別のROIの算出だけでなく、分析結果を可視化するために、ダッシュボードを整理し、結果を実行するための意思決定プロセスの整備を行いました。
マーケティングアナリティクスを実施した結果として、次の施策を実行できたからです。
- ROIが100%を下回る施策などが明らかになった
- 投資効果の悪い施策から良い施策へ予算の組み替えを行った
- 組み替えた場合のシナリオ別のシミュレーションも実施
マーケティングアナリティクスを活用することで、より精度の高いROIの算出ができ、売上は落とさずに投資額の削減やコストの削減に成功したということです。
参考:マーケティングアナリティクス~マーケティング&セールス領域におけるアナリティクスの活用~
Adobe Marketo Engage
先述したマーケティングアナリティクスツールの1つ、アドビ社の「Adobe Marketo Engage」の活用事例です。導入した企業は、株式会社オープンハウスで、都市部を中心にした不動産売買の仲介業や新築戸建て住宅の分譲などを手掛けています。
課題:
- 営業リソースが限られる中、大量の営業非注力顧客の再活性化の必要性が高まった
- 既存ツールはメールの一斉送信しかできず、パーソナライズに非対応だった
- メール配信にソースコードの知識が必要で、専門の担当者に作業依頼が集中し、高回転で施策が回せなかった
成果:
- マーケティング部で営業部門が注力しきれない顧客を再活性化
- カスタムオブジェクトにより不動産情報の自動パーソナライズを実現
- 専門知識不要で設定が可能になった
- コードを破損する心配もない上に、施策実施スピードも改善
「活用されない数万人分の顧客データが存在して」いましたが、活用しきれていなかったのが現状でした。「そこから営業が注力すべき、熱量が高いお客様を発見できる、または機会損失があると確信して」いたようです。
同社の既存システムのSFA(営業支援システム)との連携も可能で、顧客の細分化に活用でき、パーソナライズの実現が可能となりました。
マーケティングアナリティクスの動向と今後について
マーケティングアナリティクスの動向と今後について、次の3つが考えられます。
- マーケティングの分析は組み合わせにより精度が高まる
- マーケティングアナリティクスはAIの活用に伴い、ますます活発化する
- 自社に必要なマーケティングアセットを整える
これらについて順に解説します。
マーケティングの分析は組み合わせにより精度が高まる
先述したように、マーケティングの施策実施を考えるうえで、既存のシステムやツールと組み合わせることにより、複合的な分析ができ、マーケティングの効果はより高くなります。
まずは既存のシステムとして使っている、GA4やMAツール、CRMとの連携ができるプラットフォームを導入の候補として検討していくと良いでしょう。
マーケティングアナリティクスはAIの活用に伴い、ますます活発化する
マーケティングアナリティクスのプラットフォームは、AI活用が進んでいます。AI活用により、これまで気付かなかったようなより深いインサイト、機会損失していた顧客への有用なアプローチに繋げることができるのではないでしょうか。
AIの技術や広範な応用は今後、さらに高まることが考えられ、マーケティング分野への導入も活発となり、より精度の高いマーケティング施策に生かすことができるでしょう。
自社に必要なマーケティングアセットを整える
しかし、まず自社に必要なマーケティングアセット(資源)を整えることも重要です。マーケティングアナリティクスは、GAをはじめとしたWeb解析やMAツール、CRMなどのツールを活用していく中で、それらから得られたデータを統合するための手段です。
より効果的なマーケティングアセットの見直しも常に行っていきましょう。
マーケティング分析を進めてビジネスを加速化しよう
本記事では、最新のマーケティング戦略である「マーケティングアナリティクス」について、その手法や代表的なツール、活用事例、導入のポイントなどについて解説しました。
マーケティングアナリティクスは、マーケティング活動の成果を測定・分析し、効果を高めるための手法です。データとテクノロジーの活用により、マーケティングアナリティクスはますます重要性を増しています。
マーケティングアナリティクスは、マーケティングチームだけで完結するものではありません。セールスや財務などの他部門と連携することで、より効果的なマーケティング活動を実施することができます。
しかし、実際には難しいこともあるでしょう。マーケティングチームが使うデータは、部門やシステムごとに分断されており、一元的に管理されていないため、必要なデータがすぐに集められず、データの整合性が取れない可能性があります。
導入のうえではこうした課題もあるかもしれませんが、マーケティングアナリティクスチームがマーケティングプログラムやイニシアチブを包括的に評価するには、信頼できる唯一の情報源が必要です。これは、リアルタイムに近い分析を行うためにも重要です。