スマホ広告を見ていると、意図せずにタップしてしまうことはありませんか?これを狙った「誤タップ広告」の手法が、近年マーケティング業界で注目されています。
ユーザー体験を損なうリスクがある一方で、クリック数やコンバージョン率を一時的に向上させる効果も。広告主にとっては魅力的に映る手法ですが、長期的な信頼性をどう維持するかが課題となっています。
本記事では、「誤タップ広告」の手法の実態や、そのメリット・デメリットを掘り下げ、効果的かつ倫理的な広告運用のポイントを解説します。企業としての信頼を守りながら成果を上げたい方は必見です!
「誤タップ広告」とは? 「目障りな広告」の種類
誤タップを狙う広告手法の背景には、スマートフォンの普及やオンライン広告市場の変化が深く関係しています。
スマートフォンの画面操作は、指でのタップやスワイプが基本。ディスプレイサイズが限られているため、広告が画面上で多くのスペースを占有することが多いです。画面のスクロール中に意図せずタップしてしまう「誤操作」が発生しやすい状況があります。
また、モバイルデバイスを使用するユーザーが増えるにつれ、オンライン広告のターゲットはPCからスマホ中心にシフト。広告主は「スマホでのクリック数」を重要視するようになり、これが誤タップを利用した手法の増加につながっています。
スクロールストーカー
スクロールするたびについてくる広告を「スクロールストーカー」というそうです。なかなか良いネーミングセンスだなと思いました笑
ページの下にいつもついてくる広告で、ただついてくるならいいのですが、上から時間差でスッと落ちてきたり、ページが開いて数秒経つとふわっと浮いてくる動的な広告なので次のページに移動したい時や記事を読みたい時にボタンを押すとタイミングよく指が当たってしまってページが開くことがよくあります。漫画を読んでいる時結構イライラします。
×ボタンや閉じるボタンが非常に小さい広告
スマホデザインにおいてボタンのデザインは重要です。押しやすさを重視して高さは88pxはほしいですし、ボタンだとわかるように影をつけたりグラデーションをかけたりして立体感を出さないとユーザーはボタンを見落とす場合があります。
ですが、「目障りな広告」の×ボタン閉じるボタンは上記の逆です。10pxあるのかわからないくらいのボタンで広告のすごい近くに配置してあります。なので親指でボタンを押そうものなら、別の新しいタブにとんだり、アプリストアが開きます。
そこからまた元のページに戻らなければいけないわけですから、ユーザー的にはかなりイライラしているはずです。色も白もしくは黒で背景に埋もれやすくなっています。もちろん視認性を悪くするためなので、ボタンの枠などありません。ユーザーのために考えられたデザインに反することで、間違いを引き出すのは「考えたな…」というのが正直な私の感想です。本当にすごいです。
いきなり画面を覆う広告
ページを開くといきなり出てくるあの広告です。ユーザーが見たいと思ってタップしたはずなのに、いきなり全画面広告で覆われたら驚きます。すぐに×ボタンで消せますが、閉じるを押したのにサイトにとばされたりなど、この広告も元のページに戻るのに時間と労力がかかります。
小さい画面をさらに制限されるというストレス
そもそもなぜユーザーにとって「目障りな広告」は目障りなのか?誤タップで別タブやアプリストアにとんでしまうのは、元のサイトに戻る動作が面倒くさかったり、急に画面が変わるので予想してたページが出ないことで不満に感じたりするだけで目障りではないはずです。ただ広告を見ただけで目障りだと思うのには理由があります。
スクロールの制限
スマホでページを見る際に普通は下から上へと指を動かすのですが、広告が出てきている場合、その縦方向の動きが短く制限されたり、スクロールしようと思った時に広告が出てきてページが見れなかったりします。その制限で目障りだなと思ってしまいます。
視覚の制限
スクロールの制限と似ていますが、サイトを見ている時、画面上下で動いている広告や、浮き上がってくる広告がある場合、文字や画像のを見る妨げになります。また、普通スマホを見る時は視線が画面上部から下部へと移動するので、画面下部を見ている時間が長いです。なので、画面上部にある広告よりも下部にある広告のほうが目障りに感じます。
誤タップ広告のメリットとデメリット
誤タップ広告のメリットとデメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
・表面上のクリック数やCTRが向上する・短期的な露出効果が得られる・短期間での成果を見せやすい | ・ユーザー体験(UX)が悪化する・コンバージョン率(CVR)が低下する・ブランドイメージに悪影響を与える・データの質が低下し、分析が難しくなる・規制やプラットフォームへの掲載制限リスクがある |
誤タップ広告は、意図的にユーザーのミスを利用して広告をクリックさせる手法です。この手法には短期的なメリットがある一方で、長期的にはデメリットが大きいとされています。それぞれについて詳しく解説します。
誤タップ広告のメリット
誤タップ広告のメリットは次の3点です。
- 表面上のクリック数やCTRが向上する
- 短期的な露出効果が得られる
- 短期間での成果を見せやすい
誤タップを狙うことで、クリック数が人工的に増加します。広告主にとってはCTRが向上し、広告効果が高いように見えます。「クリック数に応じた課金モデル(CPC)」の場合、表示課金よりも成果が出ていると錯覚させる効果があります。
また、誤タップによる訪問でも、ユーザーの一部は広告内容やリンク先に興味を持つ可能性があります。ブランド認知度が低い企業や商品が、瞬間的にでも多くのユーザーに触れる機会を得られるのもメリットと言えるでしょう。
クライアントや上司に対して、短期間での「クリック数」や「トラフィック」の成果を提示しやすいことも事実です。このため、初期段階のキャンペーンや広告実験での指標向上として利用されることがあります。
誤タップ広告のデメリット
誤タップ広告のデメリットは次の5点です。
- ユーザー体験(UX)が悪化する
- コンバージョン率(CVR)が低下する
- ブランドイメージに悪影響を与える
- データの質が低下し、分析が難しくなる
- 規制やプラットフォームへの掲載制限リスクがある
誤タップで興味のないページに遷移すると、ユーザーは不快感を抱きます。長期的には広告主や掲載媒体への信頼感を損なう原因になってしまうでしょう。広告を避けるために、ユーザーが広告ブロッカーをインストールする動機になります。
誤タップで得られた訪問者は、商品やサービスに興味を持たない可能性が高いです。高い離脱率や直帰率を引き起こし、本来の広告効果が薄れてしまい、広告費が無駄になる可能性が高いと言えます。
誤タップを狙う広告を多用すると、「信頼できないブランド」「押し付けがましい広告主」という悪い印象を与えてしまいます。消費者のネガティブな口コミが広がりやすい懸念も。
また、一部の広告プラットフォームや媒体では、誤タップを誘発する広告を禁止しています。規約違反で広告アカウントが停止されたり、広告の掲載が制限される場合も。
誤タップによるアクセスが混ざると、正確なユーザー分析が難しくなります。実際に興味を持ったユーザーと、偶然訪問したユーザーを区別できないため、効果的なマーケティング施策が打ちづらくなってしまいます。
メディア運営者にとっては、広告主が成果を感じず離脱するリスクが増えます。広告プラットフォーム自体が「低品質な広告」を表示する場と認識され、収益が長期的に減少する可能性もあります。
結局ブランドイメージは悪くなる
広告で1%のクリックがあり利益があったとしても、やはり広告主の会社に良いイメージはありません。どんなに優良な会社だろうと良い商品を紹介していようと広告の出方でユーザーに不快感を与えていては、目障りだと思われてしまいます。ユーザーに不快感を与えないためにも広告の出し方を考えなければなりません。
誤タップ広告を防ぐために広告主が取るべきアプローチとは?
誤タップ広告は、短期的にクリック数を増加させるものの、ユーザー体験を損ない、広告主のブランドや広告プラットフォームへの信頼を失う原因となります。
そのため、広告主は誤タップ広告の配信を防ぎ、健全な広告運用を実現するための対策を講じる必要があります。以下に、広告主が取るべきアプローチや対策を詳しく説明します。
ユーザー体験(UX)を重視した広告設計
明確でわかりやすい広告配置が重要です。広告とコンテンツが明確に区別されるようにデザインしましょう。ユーザーが誤って広告をタップしないように、広告領域は視覚的に異なるデザインにします。
たとえば、バナー広告やインタースティシャル広告の配置場所を慎重に選び、ユーザーが誤ってクリックしない位置に配置します。
また、広告の閉じるボタンを目立たせましょう。広告の閉じるボタンや「スキップ」ボタンは、十分に大きく、わかりやすい場所に配置することが重要です。
動的広告を避けるようにしましょう。アニメーションや自動再生の広告は、ユーザーがタップを誤る原因になります。ユーザーが操作しようとしたときに、広告が表示されるタイミングや場所が突然変わることで、意図しないタップを誘発することがあります。
動的な要素は極力排除し、静的な広告デザインを心がけることで、誤タップを減少させることができます。
認知的に騙さない広告作成
ネイティブ広告の透明性を保ちましょう。ネイティブ広告はコンテンツの一部に溶け込む形で表示されるため、ユーザーが広告と認識しにくいことがあります。
ユーザーに誤解を与えないために、広告であることを明確に表示し、「広告」や「スポンサー」のラベルを目立たせます。これにより、広告をタップする際の意図を明確にします。
クリック誘導を不自然に行わないことです。誘導文や画像で「今すぐクリック!」といった過剰なアクションを促す表現は避け、ユーザーに過度なプレッシャーをかけないようにします。自然で関連性の高い広告内容を提供し、ユーザーが興味を持ってクリックするように誘導します。
良質なターゲティングと広告配信
不適切なターゲティングを避けましょう。誤タップが頻発する場合、ターゲティングが適切でない可能性があります。 広告が関心のないユーザーに表示されてしまうと、誤タップが増えます。
ターゲティングを精密に設定し、興味関心のあるユーザー層に絞って広告を配信することで、誤タップのリスクを減らせます。
ターゲットのデバイスや画面サイズに最適化しましょう。広告を表示するデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)の画面サイズに応じた最適な広告サイズを選択します。モバイルデバイスの場合、タッチエリアが小さいと誤タップを誘発しやすいため、タッチしやすいサイズを意識しましょう。
広告主側でのパフォーマンス測定と改善
広告のパフォーマンスを定期的に分析しましょう。クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)、直帰率などの指標を定期的に確認し、誤タップの兆候を早期に発見します。
クリック数が多くてもコンバージョン率が低い場合、誤タップが多い可能性があるため、広告の改善が必要です。
また、A/Bテストを実施して最適化しましょう。さまざまなデザインや配置、ターゲティング方法をテストし、最も効果的で誤タップを減らす広告形式を見つけ出します。
たとえば、広告の配置場所やボタンの大きさ、色の変更など、ユーザーの反応を測定して最適なアプローチを選びます。
関連記事:A/Bテストで広告改善!目的や方法、ポイントを解説
透明性とエシカルな広告運用
広告業界の規範に従いましょう。広告業界には誤タップや不正クリックを防ぐためのガイドラインや規制があります。広告主はこれらのガイドラインを遵守し、倫理的で透明性の高い広告運用を行うことが求められます。
たとえば、Google AdsやFacebook Adsなどのプラットフォームは、誤タップ狙いの広告や誤解を招くような広告を禁止しているため、これらの規定に従うことが重要です。
ユーザーに価値を提供するように心掛けましょう。誤タップを防ぐためには、広告がユーザーにとって価値のあるものであることが前提です。関連性が高く、ユーザーにとって有益な広告を提供することで、誤タップを減らし、ユーザーからの信頼を得ることができます。
広告のフィードバックループを活用
ユーザーからのフィードバックを受け取りましょう。ユーザーからのフィードバック(例えば「誤って広告をタップした」など)を活用し、広告が誤タップを誘発している理由を特定します。ユーザーからの意見を元に広告の改善を行い、より使いやすい広告に進化させることが重要です。
さらに広告の精度向上に向けた改善策を立てましょう。広告のクリックが意図しないアクションを引き起こしていないかを見直し、改善策を実行します。
動的な広告の回避や誤解を招かないコピーの使用など、精度の高い広告運用を目指しましょう。
まとめ
この記事では、「誤タップ広告」の手法の実態や、そのメリット・デメリットを掘り下げたうえで、効果的かつ倫理的な広告運用のポイントなどについて解説してきました。
ユーザー体験を向上させるより良い広告を配信し、広告の効果を本質的に高めることが重要です。
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