「インプレッションシェア」という言葉、広告代理店や企業のWebマーケティング担当者なら一度は耳にしたことがあるでしょう。
しかし、インプレッションシェアの仕組みや重要性を十分に理解している人は少ないかもしれません。この指標は、広告パフォーマンスの向上や競合に対する自社広告の露出状況を把握する上で非常に有効です。
この記事では、インプレッションシェアの重要性と、向上させるための具体的な方法を解説します。
目次
インプレッションシェアとは何か
インプレッションシェアとは、広告が表示される可能性があった回数に対して、実際にどれだけ広告が表示されたかをパーセンテージで示す指標です。
管理画面で選択すれば表示されますが、運用者以外はあまり注目しないかもしれません。
しかし、この指標を分析することで、キャンペーンや広告グループ、キーワードのパフォーマンスを把握し、改善点を見つけることができます。
インプレッションシェアの算出方法
インプレッションシェア (%)=広告が表示された回数÷理論上表示され得た回数×100
例:
- 広告が実際に表示された回数が1,000回
- 理論上表示され得た回数が2,000回
この場合、インプレッションシェアは
広告が表示され得た機会のうち、50%の機会を獲得できたことになります。
広告種類によっての目安
広告の種類 | インプレッションシェアの目安 | 説明 |
---|---|---|
リスティング広告 | 60~80% | 広告表示可能な機会の60~80%で実際に表示 |
指名検索 | 95%程度 | 特定のブランドや商品名の検索でほぼ確実に表示 |
ディスプレイネットワーク | 60~80% | ウェブサイトやアプリでの広告表示が良好な範囲 |
インプレッションシェアが低い場合、戦略の見直しが必要かもしれません。
ただし、常に高いシェアを追求することがコスト効率の良い戦略とは限りません。広告目標やビジネスの状況に合わせて、柔軟に戦略を最適化していきましょう。
インプレッションシェアの種類とその意味
Google広告(旧アドワーズ)の管理画面で「表示項目」>「表示項目の変更」>「競合指標」を選択すると確認できます。
インプレッションシェアには複数の種類があり、計算式や要素によって以下のように分類されます。
- 検索広告のインプレッションシェア
- 検索広告の完全一致のインプレッションシェア
- 検索広告のインプレッション シェア損失率(広告ランク)
- 検索広告のインプレッション シェア損失率(予算)
インプレッションシェアはGoogle広告だけでなく、Yahoo!スポンサードサーチでも同様の指標が確認できます。
- インプレッションシェア
- 完全一致のインプレッションシェア
- インプレッション損失率(予算)
- インプレッション損失率(掲載順位)
GoogleとYahoo!で呼び方が異なるものもありますが、基本的な考え方は同じですので、仕組みを理解していれば問題ありません。
では、それぞれの種類を詳しく見ていきましょう。
検索広告のインプレッションシェアとは?
インプレッションシェアは、「実際の表示回数÷表示される可能性があった推定値」で計算されます。
たとえば、広告が表示される可能性が1万回あり、実際に4,000回表示された場合、インプレッションシェアは40%となります。
インプレッションシェアが低い=広告が検索ユーザーに表示されるべき機会を逃している、ということです。
検索クエリとキーワードが一致していても、予算不足や広告ランクの低さが原因で広告が表示されないことがあります。
ここからはインプレッションシェアの損失率を見ていきましょう。
検索インプレッションシェア損失率(予算)とは?
インプレッションシェアのうち「検索インプレッションシェア損失率(予算)」は、「予算不足が原因で、検索結果に広告が表示されなかった」割合です。
損失率が高いほど「予算が原因で表示されていない」ということになります。少ない予算額に対してビッグワードに対して広告を配信してしまうと、インプレッションシェア損失率(予算)が高くなります。
検索インプレッションシェア損失率の改善方法
では、検索インプレッションシェア損失率を改善するには、どうすればいいのでしょうか。
最初に考えるべきは「適切なターゲットに対して、適切な予算で広告が配信されているか」を再確認しましょう。無駄に予算を消化している配信があれば、優先して修正・停止していく必要があります。
たとえば、求人サイトの広告で「システムエンジニア 依頼」や「医者になるには」といったクエリが部分一致でマッチした場合、それらのユーザーは求人を探しているのではなく、システムエンジニアの外部委託を求める企業や、医者を目指す学生である可能性が高いです。
こうした検索からは成約に結び付く可能性は低く、無駄な予算消化と言えますね。限られた予算が見込みあるユーザーに届いているかを確認するように気を付けましょう。
インプレッションシェア損失率(広告ランク)とは?
インプレッションシェアのうち、広告ランクの低さが原因でオークションに負け、広告が表示されなかった割合を示します。
たとえば、インプレッションシェアが10%未満の場合、広告が表示されるべき機会のうち、実際にはその10%にも満たない回数しか表示されていないことになります。
広告ランクは「上限クリック単価 × 品質スコア」で計算されるため、どちらかが低い場合、損失率が高くなります。
関連記事:Google広告の広告ランクとは?仕組みや改善方法を解説!
広告ランクを改善する方法
では実際に広告ランクを改善するにはどうすればよいのでしょうか。
一つの方法が入札単価の引き上げです。広告ランクは上限クリック単価×品質スコアという計算式に則っているため、単純に入札単価を引き上げれば広告ランクは向上します。ですが入札単価をあげただけでは、クリック単価が上がり、表示回数も減ってしまいます。
入札単価の引き上げの後、掲載順位にどう反映されたかを確認しながら、適切な入札単価を探る必要があります。
もしくは広告ランクを決めるもう一つの要素、品質スコアを改善する方法もあります。品質スコアは以下のような要素で決定されます。
- 推定されるクリック率
- 検索語句とキーワード・広告文が合っているか
- 設定キーワードが広告文に含まれているか
- アカウントの実績、過去のクリック率
- ランディングページの使いやすさ
上記のような要素で品質スコアに影響を与えています。
品質スコアの改善を図る際には、少なくとも、
- 検索クエリで表示されるキーワードが入稿されているか
- 入稿キーワードが広告文やランディングページに含まれているか
- ユーザーにとってランディングページが利用しやすいものか
この3点は確認するようにしましょう。
目標はインプレッションシェアの数値改善ではない
今回はインプレッションシェアの意味とその改善方法について解説しましたが、インプレッションシェアの数値改善が最終的な目的ではありません。他の要素も併せて改善する必要があります。
「適切なターゲットに対して、必要なタイミングで広告を配信し、より多くのユーザーにリーチする」というリスティング広告の本来の目的を見失わないようにしましょう。
そのためには、インプレッションシェアだけでなく、広告全体のパフォーマンスや費用対効果も継続的にモニタリングし、改善を図ることが重要です。
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